虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

29.抱きしめたのだから、言うことを聞くのよ。（サイラス視点）

「実は私いつでも他国の平民になれるよう、幾つか戸籍を買っているのよ。どこが良いか選んでいるところなの。私が脱出したくなったらサイラスも一緒に来てくれる？」

彼女は俺と付き合ったことで、自分は駆け落ちをしても良いほど俺のことを愛していると思い込もうとしていた。
清廉潔白な王子様と結ばれるお姫様に憧れる彼女は、目的のために男と交際する自分を受け入れられなかったのだ。

それでも、もしそんな時が来たら俺は彼女と一緒に帝国を出たいと思っていた。

彼女と一緒に居られる未来があるならば、夢も家族も捨てられる。

うちは弟がいるから、俺が居なくても後継者には困らない。

たとえ他国で平民になって、彼女が毎日庭を見てレナード・アーデンが倒れて居ないか確認して居ても俺は彼女と一緒にいられるなら全く構わないと思った。

「もちろんだよ。俺は、君と一緒に居られるなら全てを捨てるよ。他国で結婚式でも挙げよう。俺の両親、実は恋愛結婚なんだよ。なかなか振り向いてくれない母上を、父上が毎日、君を愛しているっていって口説き倒したらしいよ」

高位貴族は政略結婚がほとんどだから彼女にイメージできるか分からないが、彼女に俺との恋愛結婚を想像して欲しくて言った。