虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

39.彼は全てを知っていた。

「列がないです。レナード様、私は別に令嬢たちと踊っていても気にしませんよ。私はあなたが彼女たちにとってどんな存在かしっかり理解しています」

舞踏会に行ったら、レナード様と踊りたい令嬢の列がなかった。
きっと、彼が私がやきもちを焼いたのを気にして令嬢たちをとりなしてくれたのだろう。

「ミリア、私はあなたしか見ていません。あなたも私だけを今だけでも見つめてくれませんか?」
踊りながら私に彼が切実な様子で伝えてくる。

ポールのことを伝えて、私に逃げたいのか尋ねた日から彼は少しおかしい。
ひたすらに私に彼だけを見るように伝えてくる。

私が踊りを終えて挨拶をしようとすると、腕を少し乱暴に引かれた。

「もう、1曲踊りましょう。ミリア。疲れていたら私に体を預けてください。」
耳元で囁かれ、体の力が抜ける。

私が不安なように、彼も何かに不安を抱いている。
いくらでも客が開拓できそうなやり手の彼が、太客になる私が逃げそうなだけでこんな必死になるわけがない。
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