虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

44.狂ってしまったお姫様。

「ラキアス皇帝陛下にミリア・アーデンがお目にかかります」
気がつくと私は騒ぎの真ん中にいる皇帝陛下の前に来ていた。

私は今ミリア・アーデンと言った。
そうだ、私は結婚した。

ずっと好きだったレナードと。
何をやっているのだ、彼を守るためには姉を切り捨てなければならないのに。

「ふふっ、可愛いでしょ。ライオットっていうのよ。あなたと似ていると思わない?」
魅惑的な声をする方を見ると赤い髪に黄金の瞳をした女性が、彼女そっくりの生まれて間もない子を抱きかかえていた。
この女性の髪型から察するに踊り子だわ。
髪の結い方に特徴があるから間違いない。

私が試作品を見せたのは一度だけなのに、レナードは私の仕事をよく見てくれていたのね。
それをあんな遠い距離からでも見ようとしてくれた。

私もレナードとの子供が欲しい、彼に似て優しい子供が。

「第一皇子になるのか、皇后陛下はお子様がまだいないから⋯⋯」
誰かの声が耳に入ってくる。
そんなことは許されないわ、お姉様は平民と同列に扱われるのを嫌うのよ。
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