虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

7.まるで野生動物。

「アーデン侯爵閣下がいらしたので、応接室に通しております」
邸宅に戻ると、レナード様が私に会いに来ていると言われた。

侯爵位を継いだばかりで忙しいはずなのに、私に会いにきたと思うと心臓の鼓動がうるさくなる。
気が少し動転していたのか、家出をしようとして纏めて持っていた荷物を持ったまま応接室に出向いてしまった。

「ご機嫌よう、レナード様。私なら爵位を継いだら必死に仕事に専念しますが、忙しい時期に私のところに通うのになんのメリットがございましょうか。そうか、父から頼まれているんですものね、仕方がないですよね。でも最低限の礼儀としてお約束はしないと。私にも予定というものがございますので」

私は持っている荷物を隣に置きながら彼の向かいに座った。

「日帰り旅行の予定があったのですね。宜しければ、今度、アーデン侯爵領をご案内させてください。きっと、気にいるとおもいますよ」

彼はツッコミどころ満載の私の大きな荷物を見ながら、微笑んで言ってくる。
付き添いのものに荷物を持たせないで、自分でこんな荷物を持っているなんて逃亡しようとしたとバレバレだろう。

「アーデン侯爵領って首都のすぐ隣ですよね。首都の雰囲気と変わらないでしょうから、わざわざ行く価値があるのでしょうか。私の時間はレナード様が思っている以上に貴重なのですよ」
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