虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

9.アーデン侯爵領へ。

「本当に近いのですね。ほとんど首都じゃないですか」
私は馬車に乗っている間ずっとレナードの口づけに溺れていた。
手慣れてそうな彼からすれば、私はイージーな馬鹿女に見えただろう。

その恥ずかしさを誤魔化すように私はまた憎まれ口を叩いた。
私の反応の意図に気が付いているかのように、彼がほくそ笑む。
彼の余裕のあるような表情が私の心をざわつかせた。

「ミリア・カルマン公女。再びお会いできるのを楽しみにしておりました」
目の前で挨拶してくれているのは、元アーデン侯爵であるレナードの父親だ。

「私の方こそ、再び会えるのを楽しみにしていました」
宴会に出席した際、私はほとんどダンスをしなかった。
話しかけてくれる貴族とお話しをしていただけだ。

でも、その時間は私にとって学びの多い時間であった。
最も私にとって楽しい時間をくれたのが、この元アーデン侯爵だ。
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