虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

14.魔女がくれる毒リンゴ。(レナード視点)

「爵位継承おめでとうございます。アーデン侯爵。お祝いに私の妹をあなたに差し上げますわ」
18歳になり成人し、爵位を継承した後の舞踏会で踊っている最中にステラ・カルマンが耳元で囁いてきた。

列を並ばずに私と踊れる権利を持つのは彼女とミリアの2人だ。
私が踊りたいのは目の前の魔女ではなく、お姫様のミリアだ。

彼女と踊りながら、隅で貴族たちと談笑をしているミリアを盗み見る。
「妹君は、公爵家の後継者ですよね。私の妻にならない方だということは重々承知しております。」
私が囁き返した言葉に彼女がほくそ笑む。

「ミリアが欲しくて仕方がないくせに、我慢なさらないでくださいな。あなたが令嬢たちにしてきたボランティア活動の報酬よ」
本当に魔女のような女だ。
ステラ・カルマンは人心を掌握し、誘導するのが抜群にうまい。

私が一番欲しているものが彼女の妹のミリアだということを十分に熟知している。
ミリア本人は全く私に興味がないというのに。
彼女が欲しいが、もらい受けたら、その代償が必ずあるはずだ。

「妹君には恋人もおられますでしょうし、彼女が私を望まないのではないですか?」
自分で言っていて悲しくなった。
ミリアにはサイラス・バーグという恋人がいる。

アカデミーに入学して以来、彼女が環境に困っているのを見て助けられないかと思っていた。
追い回すように彼女を見続けて話しかけようとした時に、彼女に「カモフラージュ彼氏」などとふざけた提案をしたのがサイラス・バーグだった。
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