【Web版】天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~
エピローグ
【エピローグ】
「頼む。俺より後に死んでくれ」
と、宗司さんがウエディングドレス姿の私にはっきり告げたから、ブーケを持ったままポカンと彼を見上げた。ステンドグラスからは柔らかな秋の日の光が降り注いでいる。
夏に行うはずだった結婚式が、私のリハビリで秋にずれ込んだのだ。
ステンドグラス越しのカラフルな光に染められた、真っ白なタキシードを身にまとった宗司さんは、いつにもましてかっこいい。
かっこいいのに、神父様の「健やかなるときも」の結婚式の誓の言葉を遮って告げたのが、それだった。「俺より後に死んでくれ」。
ポカンとしているのは私だけじゃない。今日の結婚式のために集まってくれた参列者全員の視線が宗司さんに集まっている。
「俺は君がいないと生きていけないから、俺より後に死んでくれと頼んでる」
教会に、彼の堂々とした声が響き渡った。
「それだけ誓ってくれ」
「……人間いつ死ぬかは決められないんじゃないかなあ、と」
「頑張ってくれ」
それだけ告げて、神父さまには「失礼。続けて」なんてとっても偉そうにする。
「ばちが当たりますよ、ばちが」
私はこっそり唇を尖らせるけれど、宗司さんがどうしてそんなことを言ったのかわかるから、あまり強気に出られない。
よほど怖かったのだろう、私がいなくなりかけたことが。