ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
《4》分かりやすい嘘
パーティーは、ごく一般的な立食形式のものだった。
空調の行き届いた会場内は適度に涼しく、これなら着慣れないスーツ姿でもなんとか快適に過ごせそうだと、私は必死に思い込む。
規模は大きくないと聞いていたけれど、私の目には十分すぎるほど混雑して見える。
ホテルのパーティールームは人で溢れ返って、中にはきらびやかに着飾ったドレス姿の婦人もあった。きっと夫婦で出席しているからだと、強引に自分を納得させる。
大丈夫、大丈夫。
私はこれでいい。
スーツのポケットに忍ばせた名刺入れに触れる指先が、無理やりポジティブに持っていこうとする内心を無視してカタカタと震え出す。
事務というポジションゆえになかなか減らない私の名刺だけれど、たまたま切らして先日追加注文したばかりだった。無駄に数が充実している分、今日はどなた様に声をかけられても安心だ。不幸中の幸いかもしれない。
式典はつつがなく進行し、ほどなくして宴席が始まった。
すぐに何人かの重役らしき人物、さらに主催である長谷川商事の社長夫妻に囲まれた沓澤代理は、私に少し待っているよう指示を残して輪の中へ進んでいってしまった。
空調の行き届いた会場内は適度に涼しく、これなら着慣れないスーツ姿でもなんとか快適に過ごせそうだと、私は必死に思い込む。
規模は大きくないと聞いていたけれど、私の目には十分すぎるほど混雑して見える。
ホテルのパーティールームは人で溢れ返って、中にはきらびやかに着飾ったドレス姿の婦人もあった。きっと夫婦で出席しているからだと、強引に自分を納得させる。
大丈夫、大丈夫。
私はこれでいい。
スーツのポケットに忍ばせた名刺入れに触れる指先が、無理やりポジティブに持っていこうとする内心を無視してカタカタと震え出す。
事務というポジションゆえになかなか減らない私の名刺だけれど、たまたま切らして先日追加注文したばかりだった。無駄に数が充実している分、今日はどなた様に声をかけられても安心だ。不幸中の幸いかもしれない。
式典はつつがなく進行し、ほどなくして宴席が始まった。
すぐに何人かの重役らしき人物、さらに主催である長谷川商事の社長夫妻に囲まれた沓澤代理は、私に少し待っているよう指示を残して輪の中へ進んでいってしまった。