ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
《2》成り行きデート
ダークグレーのジャケットにジーンズというラフな服装に加え、髪は職場で見かけるときより崩れている。無造作に揺れる毛先はやわらかそうで、つい見入ってしまう。
それに、眼鏡だ。
いつか書類を届けに行ったときに見た眼鏡と同じだろうか。黒縁の眼鏡をかけた沓澤課長は、スーツを着ていないせいか、やはり実年齢より若く見える。
一度見惚れてしまえば、平静を取り戻すことは難しくなる。
目を逸らし、私は早口でまくし立てた。
「こ、こんなところまでなにしに来たんですか?」
「なにって、あの柚子はちみつ味の飴、ここでしか売ってねえだろ」
「えっ奇遇ですね、私もあれを買いに……ってそんなに気に入ってたんですか柚子はちみつ味?」
沓澤課長は沓澤課長で、かなりばつが悪そうだ。
拳を口元に当てた彼が気まずげに目を逸らし、その仕種にすら今の私はときめきかけてしまう。重症だなと軽く自嘲した。
それに、眼鏡だ。
いつか書類を届けに行ったときに見た眼鏡と同じだろうか。黒縁の眼鏡をかけた沓澤課長は、スーツを着ていないせいか、やはり実年齢より若く見える。
一度見惚れてしまえば、平静を取り戻すことは難しくなる。
目を逸らし、私は早口でまくし立てた。
「こ、こんなところまでなにしに来たんですか?」
「なにって、あの柚子はちみつ味の飴、ここでしか売ってねえだろ」
「えっ奇遇ですね、私もあれを買いに……ってそんなに気に入ってたんですか柚子はちみつ味?」
沓澤課長は沓澤課長で、かなりばつが悪そうだ。
拳を口元に当てた彼が気まずげに目を逸らし、その仕種にすら今の私はときめきかけてしまう。重症だなと軽く自嘲した。