ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
《3》くつざわさんが
「なんで場所、分かったんですか」
いまだに通話越しに喋っている自分が間抜けだ。
相手が目の前にいる状態で、それなのに通話はまだ繋がっている。肉声と通話音声、同じ人の声が二種類交ざり合い、不思議な感覚に溺れる。
苛立ったような仕種で通話を切った沓澤課長が、ずかずかと歩み寄ってくる。
無遠慮に思えた私はほんの少し身構えて、けれどそんな素振りにさえ苛立ちを煽られたのか、目前に迫った彼はやはり無遠慮に私の腕を引っ掴んだ。
「救急車」
「は?」
「音。電話越しにも聞こえた」
抑揚のない低い声を聞きながら、そういえばついさっき、救急車が忙しなく通りを走り抜けていったなと思い出す。
ああ、と答える自分の声が、なぜか妙に遠く聞こえる。
掴まれたきりの腕は熱く、そちらにばかり気を取られてしまう。別にそこまでぎっちり掴まなくても逃げないし、と思ったらうっかり口元が緩んだ。
いまだに通話越しに喋っている自分が間抜けだ。
相手が目の前にいる状態で、それなのに通話はまだ繋がっている。肉声と通話音声、同じ人の声が二種類交ざり合い、不思議な感覚に溺れる。
苛立ったような仕種で通話を切った沓澤課長が、ずかずかと歩み寄ってくる。
無遠慮に思えた私はほんの少し身構えて、けれどそんな素振りにさえ苛立ちを煽られたのか、目前に迫った彼はやはり無遠慮に私の腕を引っ掴んだ。
「救急車」
「は?」
「音。電話越しにも聞こえた」
抑揚のない低い声を聞きながら、そういえばついさっき、救急車が忙しなく通りを走り抜けていったなと思い出す。
ああ、と答える自分の声が、なぜか妙に遠く聞こえる。
掴まれたきりの腕は熱く、そちらにばかり気を取られてしまう。別にそこまでぎっちり掴まなくても逃げないし、と思ったらうっかり口元が緩んだ。