ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
《2》堂々巡りの休日
なんだったんだ、あれは。
翌日、土曜。
前日の沓澤代理の無茶苦茶な言動について、私はひたすら悶々と考えを巡らせる羽目に陥っていた。
無論、本人に確認する勇気なんて持ち合わせていない。近づいてくる唇を思い出し、自室でひとり頭を抱えそうになる。不自然な挙動を、もう何度繰り返したか分からない。
腕を引かれてから顔を寄せられるまで、避ける時間は十分あった。すぐに身を引き、飴を渡して缶をしまい、さっさと帰路に就けば良かっただけだ。それなのに。
あのとき、金縛りに遭ったように動けなくなった理由はなんなんだろう。
今日が土曜で本当に良かった。この心境を抱えてどんな顔で職場に行けばいいのか、さっぱり分からない。
週明け、沓澤代理はきっと、なにごともなかったような顔で職場に現れる。そしてやはりなにごともなかったように、私と同じ空間で――あの日と同じ場所で仕事をして、会議に出席して、自席に戻って、そうやってなにもかもを普段通りに収めてしまう気がする。
どこかがおかしくなったきりの私を、ひとり取り残して。
翌日、土曜。
前日の沓澤代理の無茶苦茶な言動について、私はひたすら悶々と考えを巡らせる羽目に陥っていた。
無論、本人に確認する勇気なんて持ち合わせていない。近づいてくる唇を思い出し、自室でひとり頭を抱えそうになる。不自然な挙動を、もう何度繰り返したか分からない。
腕を引かれてから顔を寄せられるまで、避ける時間は十分あった。すぐに身を引き、飴を渡して缶をしまい、さっさと帰路に就けば良かっただけだ。それなのに。
あのとき、金縛りに遭ったように動けなくなった理由はなんなんだろう。
今日が土曜で本当に良かった。この心境を抱えてどんな顔で職場に行けばいいのか、さっぱり分からない。
週明け、沓澤代理はきっと、なにごともなかったような顔で職場に現れる。そしてやはりなにごともなかったように、私と同じ空間で――あの日と同じ場所で仕事をして、会議に出席して、自席に戻って、そうやってなにもかもを普段通りに収めてしまう気がする。
どこかがおかしくなったきりの私を、ひとり取り残して。