【第13回ネット小説大賞受賞・書籍化】王太子殿下、終了のお知らせです。
厄介な問題
朝食後のお茶の時間、毎朝の日課である報告会では側近の五人が揃ってテーブルに着く。アンジェリカがテーブルの上に載せたカトレア模様の便箋を前に、パトリシアとカトリーヌは深いため息を吐き、メイヴィルとカール、マルコムは苦い顔をして腕を組んでいる。
「問題は、誰の子かという事よね」
パトリシアがアンジェリカの後ろに控える侍女長のベルジェ伯爵夫人の顔を見ながら答えた。
「こればっかりはお母様の勘が外れて欲しかったのですが…
頻度で考えればラシェル殿下の子である可能性が高いですが、時期を考えればジルベール卿と、たった一度とはいえルイ卿の可能性は捨てられない様です」
ベルジェ伯爵夫人がそれを聞いて頷いている。貴重品を持ち出すために学園の控室に赴いていたベルジェ伯爵夫人は、フィッティングルームで制服を脱いだミーガンを見てそれと気づいたそうだ。報告を受け、急いでエリオット公爵の元へ、侍女に扮した女医に手紙を届けさせたのだ。
「入浴介助の時にそれとなく診察をさせて、本人には妊娠している事を伝えていないそうよ。そんなこと知ったら大騒ぎするでしょうから、これ以上彼らのお守りをしてる時間も体力も無いんですって」
マルコムが腕組みしたまま唸っている。
「髪の色も目の色も全然違う三人ですよ? 本人には誰の子か分かってるんでしょうか? 仮にあの殿下の子だと騒いでも、生まれて来て他の二人にそっくりだったらどうするつもりなんでしょうね」
カトリーヌが顔を顰めて答えた。
「そんな生易しい女性じゃありませんよ。クレイグ卿に手を出さなかった理由は、もしも誰かの夫人に納まらなければならなかった時に、文官夫人じゃ自分を着飾る財力がないからって言ってましたからね。もちろん独り言ですけど。
今の状況でラシェル殿下の子だと騒いでも後がない事くらいは分かってますし、エリオット公爵は子を出しに助けてくれる人じゃない事は分かるでしょう。情に訴えかけて助けてくれそうなのはジルベール卿のフラン侯爵家だと踏んでいるでしょうね。生まれて来て明らかに息子の子じゃないと分かっても、無理やり手籠めにされた時の子だと言って泣き崩れたりして切り抜けられると思っていると思いますよ。『愛しているのはジル様だけなのです!』とか言って」
カトリーヌの声真似を聞いて全員の顔色が悪くなった。
「やめてカトリーヌ、その声は聴きたくないわ…… 」
気を取り直して、午後の大伯父様とお父様の凱旋を迎える準備に取り掛かる。大人たちの手腕をじっくり拝見させて頂きましょう 。
「問題は、誰の子かという事よね」
パトリシアがアンジェリカの後ろに控える侍女長のベルジェ伯爵夫人の顔を見ながら答えた。
「こればっかりはお母様の勘が外れて欲しかったのですが…
頻度で考えればラシェル殿下の子である可能性が高いですが、時期を考えればジルベール卿と、たった一度とはいえルイ卿の可能性は捨てられない様です」
ベルジェ伯爵夫人がそれを聞いて頷いている。貴重品を持ち出すために学園の控室に赴いていたベルジェ伯爵夫人は、フィッティングルームで制服を脱いだミーガンを見てそれと気づいたそうだ。報告を受け、急いでエリオット公爵の元へ、侍女に扮した女医に手紙を届けさせたのだ。
「入浴介助の時にそれとなく診察をさせて、本人には妊娠している事を伝えていないそうよ。そんなこと知ったら大騒ぎするでしょうから、これ以上彼らのお守りをしてる時間も体力も無いんですって」
マルコムが腕組みしたまま唸っている。
「髪の色も目の色も全然違う三人ですよ? 本人には誰の子か分かってるんでしょうか? 仮にあの殿下の子だと騒いでも、生まれて来て他の二人にそっくりだったらどうするつもりなんでしょうね」
カトリーヌが顔を顰めて答えた。
「そんな生易しい女性じゃありませんよ。クレイグ卿に手を出さなかった理由は、もしも誰かの夫人に納まらなければならなかった時に、文官夫人じゃ自分を着飾る財力がないからって言ってましたからね。もちろん独り言ですけど。
今の状況でラシェル殿下の子だと騒いでも後がない事くらいは分かってますし、エリオット公爵は子を出しに助けてくれる人じゃない事は分かるでしょう。情に訴えかけて助けてくれそうなのはジルベール卿のフラン侯爵家だと踏んでいるでしょうね。生まれて来て明らかに息子の子じゃないと分かっても、無理やり手籠めにされた時の子だと言って泣き崩れたりして切り抜けられると思っていると思いますよ。『愛しているのはジル様だけなのです!』とか言って」
カトリーヌの声真似を聞いて全員の顔色が悪くなった。
「やめてカトリーヌ、その声は聴きたくないわ…… 」
気を取り直して、午後の大伯父様とお父様の凱旋を迎える準備に取り掛かる。大人たちの手腕をじっくり拝見させて頂きましょう 。