御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
特別な女性ーside洸星
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「――社長。そろそろ到着です」
社用車の後部座席に座りタブレットで資料を読んでいたところ、助手席に座る秘書が振り向き声を掛けてきた。
MISUMI電気株式会社の看板が掲げられた地上二十五階建てビルのエントランスにある車寄せに車がゆっくりと停車する。
タブレットをカバンにしまったところで、秘書が後部座席の扉を開けた。
俺はスーツのジャケットのボタンを片手で留めながら車から降りる。
「懐かしいな」
ビルを眺め、ふとそんな言葉が漏れた。
二年前までMISUMI電気の社長をしていたが、昨年から父親の跡を継いで全てのグループ会社をまとめるMISUMIホールディングスの社長に就任した。
今日ここへ来たのは会議に参加するためだ。
エントランスを抜けてエレベーターホールへ向かう。途中すれ違う社員に会釈をされ、軽く頷いてそれに応えた。
エレベーターに乗り込み、目的の階のボタンを秘書が押す。腕を組み、壁に軽く寄りかかりながら階数表示を眺めた。
社員食堂のある階を通り過ぎたとき、ふと有紗の顔が頭に過る。彼女と初めて出会ったのもこの場所だ。