【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
最終話【永遠の藍と新しい命】




 記憶がすべて蘇った日から、私の世界は穂貴さんの愛で優しく、深くに色づいていた。あの瞬間から、私の心は穂貴さんの存在で満ちあふれ、ひとりぼっちだったのに今は毎日のすべてが彼の温もりで包まれるようになった。
 朝の光がカーテンを透かすたび、穂貴さんの睫毛が微かに震え、ゆっくりと目を開ける瞬間――その瞳に私が映るだけで、胸がきゅんとして、涙がにじむ。あの瞳は、私の過去の闇をすべて照らし、未来を優しく約束してくれるように輝いている。
 穂貴さんが眠そうな声で私の名前を呼び、優しく唇を重ねてくれる。朝のキスはいつも甘く、ゆっくりと深くなり、息が絡み合い、体温が溶け合う。その感触が、私の体に染み渡り、心の奥底で失われた時間を取り戻した喜びが湧き上がる。


「……んっ」


穂貴さんの唇が私の唇を優しく探り、舌が絡む瞬間、私は自分が本当にここにいることを実感し、胸が熱くなる。




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