これはもはや事故です!

甘えていいですか?

 
 部屋の灯りは落として、リビングのスタンドライトだけが点いていた。

 ソファに並んで座り、それぞれのマグカップから、湯気が立ちのぼる。
 テレビはついているけれど、どちらも、ほとんど見ていなかった。

 美羽は、カップを両手で包みながら、少しだけ間を置いてから口を開く。

「……あのね」

 磯崎は、視線だけを向ける。

「ん?」

「今日は……私、頑張ったんです」

 それだけ。

 詳しい説明も、
 誰と、何を、どう、もない。

 磯崎は、一瞬だけ考えるような顔をしてから、短く息を吐いた。

「そうか、疲れたか」

「……少し」

 正直に答えると、
 磯崎はカップをテーブルに置いた。

「こっちにおいで」

 低く、でもやさしい声。
 磯崎は、ごく自然に、腕を広げた。
 美羽は、迷わず身を預ける。

「ふふっ、温かい」

 胸に頬を寄せると、
 磯崎の心臓の音が、すぐ近くで聞こえる。
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