離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
第二章 突然の再会と契約的プロポーズ
「本当にごめんなさい!」
ポッキリとヒールの折れたパンプスを差し出し、夏芭に向かって頭を下げる。
「ありゃ、綺麗に折れちゃったねぇ」
「ごめんなさい、必ず修理して返すから……」
「いいよ。てゆーかこのままりっちゃんにあげる」
思ってもみなかった夏芭の言葉に、六花は顔を上げて目を丸くする。
「えっ! もらえないよ」
「これ去年のやつだし、今年の新作買っちゃったんだよね。直せば使えると思うからりっちゃんそのまま使ってよ」
「でも、私じゃ宝の持ち腐れだよ」
「またまた〜。朝帰りだったくせに」
ニヤニヤ見つめる夏芭にギクリとする六花。
「何か良い出会いあった?」
「ないよ! 寝過ごして終電逃しちゃっただけ。その帰りに転んでヒール折っちゃったの」
「転んだの? 怪我は?」
「何ともないよ」
「そっか」
「だからその、本当にごめんね」
「いや、それは全然良いんだけどさぁ」
夏芭は訝しげに六花を見つめる。
本当に何もなかったのか疑っているようだ。
六花は逃げるように夏芭の部屋から出た。
「とにかく! 夏芭が良いならこのパンプスいただくね。ありがとう! 直してくる」
「あ、ちょっと」
「行ってきまーす!」
やや怪しいとは思ったが、そそくさと出て行った。
だって本当のことなんて言えるはずがない。
夏芭の名前で見知らぬ男性と一夜を共にしてしまったなんて。