離婚前提のはずが、策士な弁護士が離してくれません。
第三章 同棲生活と契約結婚の始まり
懐かしい夢を見た。
まだ父が健在で母も出て行く前で、家族が揃っていた時のこと。
その頃、高校受験を控えて図書館に通って勉強していた。
受験勉強は大変だったけれど、図書館に向かうのはいつも楽しみだった。
『――今日は何の勉強する?』
あの人に会えるから。
でも、あの人は誰だったのだろうか――。
* * *
「……懐かしい夢見たな」
六花は起き上がって目をこする。
スマホの時計を見て、ベッドから跳ね起きた。
時刻は八時半。いつもは六時半には起きて洗濯や朝食の準備をしているというのに、大寝坊だ。
「申し訳ございません! 寝坊してしまいました!」
「ああ、おはよう六花」
ダイニングルームでは、新聞を読んでいる惺久の姿があった。
六花の顔を見ると、穏やかに微笑む。
「よく眠れた?」
「あれ……」
そこは涼風家のダイニングルームではなかった。
ここは惺久の住む自宅だ。
寝起きの頭が段々とクリアになっていく。
そうだ、六花は惺久の自宅で一緒に住むことになったのだ。
「おはよう、ございます」
「おはよう。軽いものだが朝食は用意してある。カフェオレでいいか?」
「はい」
惺久はキッチンに行き、六花の分のトーストとハムエッグにサラダを用意してくれた。
誰かに朝食を用意してもらうなんて新鮮だった。