一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
第七章 紫都の新しい旅

「やっぱり紫都だ。相変わらずスレンダーだな」
まさか、元カレの美隆と、四年ぶりにこんな所で会うなんて。
嬉しさよりも戸惑いが大きかった。
彼の大きな目が、首から下がった私のネームプレートを捉えている。
「まだ添乗員やってるんだ………?」
「…うん。会社は変わったんだけど」
私は、美隆の目をまともに見ることができなくなった。
過去を思い出して苦しくなったからだ。
現在のトラベルプロに登録する前、私は某大手旅行会社の添乗員だった。
「……俺のせいだな」
言葉とは裏腹に、美隆の表情に、反省や後悔の色は見えない。
四年前。
この人は、″別れ ″をキッカケに、私への誹謗中傷をあらゆる所で行った。