一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
第三章 紫都と恋の風
 ――鹿児島の夜は、あつい。
 
「添乗員さん、ちょっとだけ俺の母さんに似てるなぁ……、俺、母親似なんだよ」
 
 酒の力で、己の欲を剥き出しにした木下さんの身体も、異常に熱かった。

「なら、思い止めてください! こんな事したら亡くなったお母さまが悲しみ……」
 
 私の訴えなんて聞こえてないのか、ニンニク臭のキツイ口を唇に押し付けて、声を奪う。
 手での制御は全くきかず、浴衣の帯もほどかれた。
 
 泥パックで潤った肌を、毛むくじゃらの手で無遠慮に雑にまさぐられ、暑いのに鳥肌が立った。
 

 逃げられず、助けも呼べず、絶望的な気持ちで天井の蛍光灯を見ていると、 コンコン! とドアを叩く音が響いた。


 「桑崎さん、明日の事で話があります。入りますよ」

 
 ドライバーの岡田の声だった。
 
 


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