夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます

最終話 貴方と歩むために

 警察署で渉さんと別々の部屋で、事情聴取を受けることになった。

 なにがあったのか、男との関係はどんなものでいつからなのか。この一か月以上困らされていたことをできる限り伝え、被害届を出すと解放された。

 担当の刑事さんに連れられて廊下へでると、簡素なソファーで待つ渉さんが「百香ちゃん」と私を呼んだ。
 振り返ると、立ち上がった渉さんが走り寄ってくる。その唇が少し腫れていたのに気づき、胸が痛くなった。きっと、男が頭突きをした時に切ったのだろう。

「遅くまでお待たせしました。後日また聴取させて頂くことになります」

 担当の刑事さんは渉さんを見ると頭を下げ「到着が遅れたこと、重ねてお詫びします」といった。渉さんはそれに返すこともなく、私の背に手を当てて「百香ちゃん、帰ろうか」と静かにいい、少しだけ頭を下げた。
 丁度、エレベーターのドアが開いた。

「下までお見送りを」
「ここまでで大丈夫です」

 刑事さんの申し出を遮った渉さんは、もう一度頭を下げると、エレベーターのドアを閉ざした。
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