夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます

第2話 眠っていた恋心が目を覚ます

 駅まででいいといったのに、結局、マンションの前まで送るといわれてタクシーに乗せられてしまった。

 窓の外を街の明かりがすぎていく。
 ここから私のマンションまで、車だと40分くらいかかるかな。その間、運転手さんがいるとはいえ、渉さんと後部座席で二人っきりというのは、どうも落ち着かない。

 なにを話したらいいんだろう。
 五年前、どんな話をしていたんだっけ。学校のこと、勉強のこと、昨日見たドラマのこと──そわそわしながら、昔を思い出して話題を探した。

「百香ちゃんも、横浜にいるとは思わなかった」
「……え?」
「ほら、お母さんと仲良かったじゃないか。だから、実家に帰ってお店を手伝っているのかなって」

 朗らかな渉さんの声が、佐多氏の心に重苦しい影を落とす。
 お母さんとは今でも仲がいい。都会で暮らす私のことを心配して、いつでも帰っておいでといってくれる。それどころか、お見合いの話まで探してきて。

「今は、なにしているの? 大学は経済学部に進んだって、お母さんから聞いてたけど」

 何気ない言葉に、頭を殴られたような気がした。
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