夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます

第4話 君を支えたい(渉SIDE)

 裁判所へ出向いてもろもろの手続きを終えた日のことだ。

 スマホでニュースをチェックしていると、世間で賑わいをみせるテレビ局のコンプライアンス問題の速報が流れてきた。テレビ局の顔だった芸能人が、コンプライアンス違反を突きつけられ、番組の降板をきっかけに対立している問題だ。
 見出しには『日弁連、人権救済申し立てを認めず』という文字があった。

 やはり、そうなったか。
 想定はしていたが、訴えた芸能人側を思うと、いささか不憫とも思えるな。
 そもそも人権救済は国家権力による侵害を扱うことが多い。民間企業間の契約トラブルに介入するのは難しいと、初めからわかっていただろう。なのに、なぜそこを攻めたのか。

 裁判に持ち込むための話題作りか、日弁連の勧告という外圧を期待しての動きだったのか……

 ここで終わることはないだろうが、このままでは企業にとって「コンプラ」がますます魔法の言葉になっていくな。古い体制がそうさせるのか、大企業ゆえの圧力なのか。
 この案件担当は、なにを考えているのやら。下手をすれば、弱者が涙を呑む世の中が加速しかねないぞ。

 記事に目を通し終わると丁度、事務所の最寄り駅に着いた。
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