夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます

第5話 もう一度、貴方の背中を追いたい

 通話が切れたスマホを呆然と見つめ、今しがた起きた会話を脳内で繰り返した。
 渉さんは、私にパラリーガルを目指そうといった。ううん、違う。渉さんのパラリーガルになって欲しいっていっていた。

「パラリーガル……」

 もう一度、渉さんに背中を押して貰えるとは思っていなかった。
 弁護士の道を諦めきれない気持ちがあることに、渉さんは気付いてくれたのかもしれない。そうじゃなくても、子どもだった私の思いを忘れないでいてくれたんだよね。

 胸の奥が温かくなっていく。
 親に負担をかけられないからと浪人の選択を捨て、経済学部なら弁護士とは違っても社会の助けになれるだろうと言い訳をして進学した。
 でも、やりたいことが見つからず、この五年間をただすごしてきた。

 全部が無駄なわけじゃないのかな。もう一度、 渉さんの背中を追いかけていいの?

 あふれる涙を拭いながら、耳に残る声を思い出す。
 真剣だった。軽い気持ちなんかじゃないって、伝わってきた。「公私ともに支え合えるパートナー」ってフレーズを思い出すと、鼓動が忙しくなる。
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