【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

新たな一面

家に入って私たちはすぐにお風呂に入った。


二人で……。

この前はすごく動揺していたのに、勇凛くんから一緒に入ると言いだした。

狭い湯船に二人で浸かる。

勇凛くんの肌が心地よかった。

お風呂の中の勇凛くんは色っぽい。

張り付いた髪。

滴る水滴。

まるで頑張ってきたご褒美のようだ。

でも勇凛くんの表情は曇っている。

「勇凛くん、どうしたの……?」

「……あの人、七海さんのこと好きですよね」

──あの人……?

森川さん!?

いや、そうなんだけど。

「違うよ。私が世話が焼けるから色々してくれるだけだよ」

「好きでもない相手になら、そこまでしないですよ」

なんて言えばいいのか。

「勇凛くん。例えそうだとしても、私はあの人のことを恋愛対象としては見てない」

「……そうだとしても、悔しいんです」

勇凛くんの綺麗な顔が歪む。

「あの人にも、兄さんたちにも俺は敵わない」

勇凛くんのこんな姿、見たくなかった。

こんな思いをさせたくなかった。

どうすればいいんだろう。

私は勇凛くんにキスをした。

「勇凛くん!あの人たちがどうであれ、私にとって一番の男は勇凛くんだよ!」

私の気迫に勇凛くんがやや驚いている。

「年齢も肩書きも関係ない!私が欲しいのはあなたなの!」

風呂の中に大きく響く私の声。

しばらくすると勇凛くんの腕の中に包まれた。

「ありがとうございます」

勇凛くんの表情が優しくなって、嬉しかった。

流石にのぼせそうだ。

「もうそろそろ出ようか」

私が立ちあがろうとすると、腕を掴まれてキスをされた。

深く絡み合う。

私は混乱していた。

勇凛くんがこんなことをしたことに。

心臓がおかしくなりそうだった。

離れたあとに、私は硬直していた。

「すみません……ちょっと今日は余裕がないです」

そう言う勇凛くんの表情は、どこか(なま)めかしかった。
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