【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

出張同行事変 完

個室の外まで先方の社長たちに見送られ、店を出る。

「本日はご馳走になり、ありがとうございました」

「こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします」

定型句を交わして、私たちは用意されたタクシーに乗った。

無言。

お礼を言わねば。

「さっきのことですが……助けていただきありがとうございました」

「さっきの、とは?」

「営業部長の方に、連絡先を聞かれた件です」

「あれは、私のためでもある」

「副社長の、ため……?」

「君が失礼なことをすると今後の業務に支障をきたす」

「……」

まぁそんな返事は想定内だ。

私が外の景色を眺めていると、私の宿泊するビジネスホテルの前に到着した。

てっきり副社長のホテルで解散になると思ったから驚いた。

「ありがとうございます」

「……勇哉が来ているんだろう」

バレているじゃねーか。

「私は手を抜くつもりはない。そして勇哉も君を追い詰めるだろう。それでもまだ足掻くのか?」

正直しんどい。辛い。でも──

「私は勇凛さんが側にいてくれれば、どんな困難も乗り越えます」

私の正直な今の気持ち。

「……そうか」

そして私はタクシーから降りた。

「明日私は早朝の便で帰る事にした。君は別で帰りなさい」

タクシーは繁華街に消えていった。


出張の全ての任務を遂行した……。

胸を撫でおろしてホテルに入ると、森川さんがホテルのロビーのソファに座っていた。

「どうだった?」

「なんとかやり遂げました……」

「飲みに行くか?」

「飲みません」

あ。

「勇哉さん、今頃どうしてるんだろう……」

「『七海ちゃんに逃げられてつまんないから帰る』ってさっき連絡がきた」

「仲良しですね」

「適当に使われてるだけだよ」

森川さんにまともにお礼ができてない。

「お酒は無理ですけど……ごはん付き合いますよ。私のおごりです!」

「じゃあ行くか」

そのあと、森川さんと福岡の有名なラーメン屋に行って、たらふく食べた。

そしてまたホテルに戻ってそれぞれの部屋に入った。

寝る前に勇凛くんに電話をして、私は眠りにつく。

福岡出張任務は無事に終わった。
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