【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

夫婦の証

ジュエリーショップに入ると、白い空間に包まれた清潔感あふれる内装だった。

今の私の貯金で買えるものがあればいいが……。

二人で指輪を見ていると、店員が来た。

「どんなデザインのものがお好みですか?」

デザインじゃなくて値段なんだよ、と心の中で呟いた。

「デザインは特に気にしてないです」

私が答えると、店員はお構いなしに色々紹介してくる。

あー!ゆっくり探したかった!

勇凛くんは店員の話はスルーしてずっと指輪を見ていた。

「……七海さんこれはどうですか?」

勇凛くんが指を指したのは、シンプルで落ち着いたデザインの指輪だった。

なんの装飾もなく、勇凛くんのように真っ直ぐな心を表しているかのようだった。

値段を見ると──

ペアで十万円だった。

十万円ならなんとか……。

「うん、これにしよう!」

私がカードを出そうとしたら、勇凛くんが先にカードを出した。

「一括で買います」

──え?

「え、勇凛くん、十万だよ……?」

「はい。貯金があるので大丈夫です」

いくらあるんだろう。

大学生のバイトで……。

「勇凛くん、私の分は自分で払うよ!」

「いえ、俺が七海さんに結婚指輪をあげたいんです」

胸が熱くなった。

「うん……ありがとう」

泣きそうだった。

ちょうどサイズが合う指輪がそれぞれ在庫にあって、私たちは店から出てきた。

「勇凛くん、ありがとう」

「いえ、当然のことをしただけです」

そのあと、勇凛くんと私の家に向かった。

家に着くまで私たちは何も言葉を交わさなかった。

明日のことで私は頭がいっぱいだった。
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