身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる

第4話 私の夫

◇ ◇ ◇

 お見合いが終わった後、私は料亭で佑太さんと昼食を共にした。出された料理は老舗の料亭らしく豪華な懐石料理。まぐろやサーモンなどの刺身に鶏肉、根菜が詰まった釜めし。そして天ぷらなど贅の限りを尽くした品々が並んだ。どれも美味しくて気がつけばお腹がはちきれんばかりの勢いになってしまっている。
 昼食後は行きつく間もなく佑太さんが住んでいる家へ案内を受ける。同居するのはこれからだとは聞いたけど、ぜひ案内したいと佑太さんからの意向でお邪魔させていただく形になったのだった。
 彼が住んでいるのは翠総合病院から目と鼻の先の距離にあるタワーマンション群の一角で、エントランスホールにはコンシェルジュさんに警備員さんら併せて5名ほどが常駐している。 

「なんか、まさにドラマに出てきそうなマンションですね……」

 こんな如何にも高級タワマンです! な場所に一般人な私が入ってもいいものなのかと恐れ多くなる。当の佑太さんはと言うと口を真一文字に閉ざしたまま、黄金色のライトが光り輝くエレベーターに乗り込んだ。その最中、彼にずっと手を握られていたので胸の心臓がうるさくてかなわない。

「あの、もう手を離しても……いいですけど……」
「だめ?」

 この人はおねだりが得意なんだろう。私に対してダイレクトに弱い部分を突いてくる。
 エレベーターを降りて左に曲がり、突き当りにある黒くて分厚い玄関の扉を開けると、濃い灰色の大理石が敷き詰められた土間に白いつやつやのフローリングなホールが視界に飛び込んでくる。左側の黒い靴箱の中に靴を全て入れているのか、土間に靴は一切ない。

「綺麗ですね。靴も全て収納されてて……」
「君が来る前に掃除した甲斐があった」

 どうやら普段は靴を脱ぎ散らかしたままだとか。多忙さを極める医者である以上、片付けの時間も中々取れないのはあるだろう。
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