追放令嬢が可愛い犬を拾ったら実は狼の神獣でした〜なぜか気に入られて国を滅ぼしそうな勢いです〜

9カラスの心酔

瀕死の状態で横たわるレイヴンの前に、大きな大きな白銀色の狼がゆっくりと歩を進めて現れた。普通の狼とは違う、なにかとてつもない力を感じて、レイヴンは体にビリビリと電流が走るかのような感覚を覚える。

(……でけぇ狼だな。しかも、なんだ?この言いようのない、圧倒的な力。俺は、食われるのか)

 あっけない死に方だと思う。だが、レイヴンは特に後悔もしていなかった。自分の思うまま好きなように生き、好きなように死ぬ。それに、これだけの大きさの狼に食われるなら、自分のこの儚い命も少しは報われるような気がするのだ。

「なあ、狼さん、よ、ゴホッ」

 ゼーゼーと荒い呼吸のまま、レイヴンは力を振り絞って狼に話しかける。狼は、レイヴンの声に気付いてレイヴンを静かに見下ろした。サファイア色の瞳がきらりと光る。

(綺麗な瞳だな)

「こんな、ボロボロの、カラスを食っても、ゲホッ、満足しないかもしれないけど、ゴホッ、俺のことを、食って、くれないか。こんなところ、で、朽ち果てるより、ガハッ、あんたみたいな、強くて、大きい狼に、食われるほうが、ゴホッ、よっぽどいい」

 レイヴンは血を吐きながらそう言う。狼はレイヴンの話をただ静かに聞いていたが、フイッと空を見上げてしまう。

(食う価値もねぇってか)

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