大塚愛緒さんの作品一覧

茜色の約束

総文字数/40,281

恋愛(純愛)22ページ

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十年前のあの頃、私は恋をしていた。 優しくて、不器用だったあの人に。 穏やかで心地よいと感じていた恋は、本当は、熱く燃える激しい恋だった。 あの頃の私はまだ拙くて、幼くて、浅はかだった。 でも、あの想いだけは色褪せていない、澄んだ想いだったのだ。 十年後も、ずっとあの人の隣にいると信じていた。 生まれる前も、生まれ変わった後も、きっとあの人の傍に私はいるのだろうと信じていた。 ふと、立ち止まって空を見上げる。 見上げた空に浮かぶ太陽はだんだん西の方へ沈んでゆく。 私は、茜色に包まれた私の姿と、あの人の姿を思い出した。 ―もしも、あの日、空を仰いでいなかったら。 私とあなたの物語が始まることはあったのだろうか。
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