はづきこおりさんのレビュー一覧
悪人面(!)だけど心優しいオペ看の真由美と、高スペックだけど本気の恋をしたことがない外科医神崎が織りなす高品質じれじれストーリー!! とにかく物語の流れが丁寧で、真由美や神崎の心の揺れ動きにドキドキハラハラしながらあっという間に引き込まれました。 恋愛模様のみならず専門的な仕事の描写も丁寧かつ分かりやすく、とても読みごたえがある。特に後半は医療ドラマを見ている気分でページを捲る手がもどかしかったです。 主人公が健気で、恋愛を含めて成長する姿に拍手を送りたくなりました。 くすりと笑える場面があるかと思えば、胸を締め付けられる場面もある。最上級のじれじれ作品です! 素敵な作品をありがとうございました!
悪人面(!)だけど心優しいオペ看の真由美と、高スペックだけど本気の恋をしたことがない外科医神崎が織りなす高品質じれじれストーリー!!
とにかく物語の流れが丁寧で、真由美や神崎の心の揺れ動きにドキドキハラハラしながらあっという間に引き込まれました。
恋愛模様のみならず専門的な仕事の描写も丁寧かつ分かりやすく、とても読みごたえがある。特に後半は医療ドラマを見ている気分でページを捲る手がもどかしかったです。
主人公が健気で、恋愛を含めて成長する姿に拍手を送りたくなりました。
くすりと笑える場面があるかと思えば、胸を締め付けられる場面もある。最上級のじれじれ作品です!
素敵な作品をありがとうございました!
いつしか日が落ち頭上は深い青に染まる。それはまだ完全な闇ではない群青の空である。
しかし空は変化する。
星が流れ、月が満ち、朝の光を受けて群青から徐々に薄青へと変わっていく。
重いテーマを扱っているにもかかわらず手記という体裁をとったことで沈鬱さが和らぎ、彼の運命がいつ訪れるのかとハラハラしながら一気に物語を追いました。
罪を頑なに抱きしめていた渡が恒によって少しずつ光に向かって歩んでいく姿が微笑ましく、そのぶん結末には胸が詰まります。
2人を無意識下で支えていた深空の存在が群青の空のように優しく、切ない。
僕らにだって諦めないことはできる。
恒の言葉に、渡はどれだけ救われただろう。
人が変わる瞬間にはいつも大切な誰かが傍にいる。
素敵な作品をありがとうございました。
本筋とはちょっと逸れますが、私がこの作品で一気に引き込まれたのは陽鶴が『くやしい』と大きく感情を揺らした場面からでした。
美月が見えるのに、信じてもらえないくやしさ。そこから怒涛の一気読みです。
想い合うふたりが目の前にいるのにお互い触れられない場面では、陽鶴と一緒に思わず涙が…。
死んだ自分にとらわれてほしくないと願う美月の気持ち
それでも失いたくないと縋る園田の叫び
そのどちらも受け止めて耐える陽鶴
そんな彼女を支える穂積
切ないです。
陽鶴、なんて強い子なの…!と読み終わってじわじわ感じています。
美月ちゃんも素敵な女の子だったけれど、私はやっぱり陽鶴の心の強さこそ最強だと思いました。
(そして私の中では穂積エンドです(笑))
素敵な作品をありがとうございました。
『制服を着て、私たちは毎日、戦っている』 クーデターと表紙の言葉から勝手に『ヒエラルキー最下層軍』が理不尽なピラミッド構造をぶち壊すお話を想像したけど、そんな単純な話ではありませんでした。さすが作者様。 日常をぶっ壊そうと声をあげた反乱軍に、どういうわけか上位層の人まで参加…!? 予測のつかない展開にぐいぐい引き込まれて、登場人物たちの切実な声にグサグサ胸をえぐられました。 見るもの触れるものすべてが鋭く心に迫る、剥き出しの彼女たち。 友達や、親や、自分と、向き合うことが、どれだけ怖いか。 声に出すこと、耳を傾けることが、どれだけ大切か。 変わらないかもしれない。でも、踏み出すことに意味がある。 心に、晴れ渡る空。 秘色色(ひそくいろ)、素敵でした。
『制服を着て、私たちは毎日、戦っている』
クーデターと表紙の言葉から勝手に『ヒエラルキー最下層軍』が理不尽なピラミッド構造をぶち壊すお話を想像したけど、そんな単純な話ではありませんでした。さすが作者様。
日常をぶっ壊そうと声をあげた反乱軍に、どういうわけか上位層の人まで参加…!?
予測のつかない展開にぐいぐい引き込まれて、登場人物たちの切実な声にグサグサ胸をえぐられました。
見るもの触れるものすべてが鋭く心に迫る、剥き出しの彼女たち。
友達や、親や、自分と、向き合うことが、どれだけ怖いか。
声に出すこと、耳を傾けることが、どれだけ大切か。
変わらないかもしれない。でも、踏み出すことに意味がある。
心に、晴れ渡る空。
秘色色(ひそくいろ)、素敵でした。
クリスマスの夜、恋人に裏切られ寒空の下に放り出された白路は、とある小料理屋に辿り着き―― タイトルが秀逸なので若干ハードなお話なのかしら…と少しドキドキしながら読み始めたら、あったかくて優しくて、この上なく愛しい物語でした! 美しい文章とどうなるの?な展開で気が付けば一気読み。 悪役が素敵に突き抜けているのでその分主人公はつらい境遇に立たされますが、季節に絡めた美味しそうなお料理と主人公の明るくまっすぐな人柄で、作品全体がとても温かい。 小料理屋で出会うふたりの男性がまた魅力的! 女嫌いで口の悪い梅之介の辛辣さと、小料理屋主人である眞人の甘さのバランス。 テンポのいい会話も楽しく、漂う和の雰囲気も物語を一層素敵にしていると思いました。 登場人物たちの息遣いを感じられそうな物語。 冷たい雪空から柔らかな桜空へと至る彼らの軌跡を、是非体感して頂きたいです。
クリスマスの夜、恋人に裏切られ寒空の下に放り出された白路は、とある小料理屋に辿り着き――
タイトルが秀逸なので若干ハードなお話なのかしら…と少しドキドキしながら読み始めたら、あったかくて優しくて、この上なく愛しい物語でした!
美しい文章とどうなるの?な展開で気が付けば一気読み。
悪役が素敵に突き抜けているのでその分主人公はつらい境遇に立たされますが、季節に絡めた美味しそうなお料理と主人公の明るくまっすぐな人柄で、作品全体がとても温かい。
小料理屋で出会うふたりの男性がまた魅力的!
女嫌いで口の悪い梅之介の辛辣さと、小料理屋主人である眞人の甘さのバランス。
テンポのいい会話も楽しく、漂う和の雰囲気も物語を一層素敵にしていると思いました。
登場人物たちの息遣いを感じられそうな物語。
冷たい雪空から柔らかな桜空へと至る彼らの軌跡を、是非体感して頂きたいです。
人間の心と身体が求めるものは必ずしも一致しない。
しかも「恋愛」は相手があってのことで、思うように進まないのが常である。
なんて厄介なのだろう!
性別や年齢や立場の異なる彼らの決してきれいとは言えない恋愛模様が、痛々しいくらい誠実に書かれていて引き込まれました。
人間なのだから、誰にだって瑕疵がある。
だけど完璧ではないからこそ、人は愛しい。
内容の深みだけでなく先を予測する楽しさも与えてくれて、一方通行のベクトルがきれいに輪を描いた瞬間には思わず息が止まりました。
ちなみに最後のなぜ?と思う部分の答えは、作者様がえみにしっかり言わせていたのではないかと…(勝手に想像しています(笑))。
想像をかきたてられる…!
最後まで読んでからもう一度最初に戻りたくなる、至極の短編集です。
作者様が伝えたかったこと。
明るくはなく、どちらかというと重いお話ですが、いろいろと考えさせられました。
主人公が絶望の淵から這い上がる前半と
自分のためではなく相手のために尽くそうとする後半。
彼女の身に起きたできごとは終盤まで明かされないものの、
物語の随所にその片鱗が散りばめられていて終始せつないです。
光太の無邪気さがよけいに切ない。
私が綾だったらどうするだろうかと考えるのはもちろん、
光太側の気持ちも考えずにはいられませんでした。
あのまま後から知ったなんてことになったらとてもやりきれない…
生きている限り、何が起こるかわからない。
自分のために、大切な人のために、普段から後悔のないよう生きていたい。
日常に埋もれて忘れてしまいがちな大切なことを、思い出させてくれるお話でした。
読み終わったあとにしばらく何も考えることができないくらい感じるものがあって、レビューを書きたいと思ったのに、どうしてもうまく言葉にできないまま3日が経ちました。 そのあいだに素敵なタイトルが可愛らしいタイトルに姿を変え、書籍用のあらすじに『すべての中高生に贈る』という言葉が添えられていました。 でも、いい大人のわたしも、このお話の世界にすっかり入り込んで、胸をえぐられ、苛立ちを感じ、セミの声を聞いたんです。 読んでいるとヒリヒリと胸が擦り切れそうなのに、一言一句のすべてに想いが込められていて、読み流すことなんてできない。 最後の最後には堪えきれずに涙が出ました。 わたしの拙い表現力ではこのお話の良さをとても説明できません。 ぜひ、作者さまの描いた世界を感じていただきたいです。 素敵な作品をありがとうございました。
読み終わったあとにしばらく何も考えることができないくらい感じるものがあって、レビューを書きたいと思ったのに、どうしてもうまく言葉にできないまま3日が経ちました。
そのあいだに素敵なタイトルが可愛らしいタイトルに姿を変え、書籍用のあらすじに『すべての中高生に贈る』という言葉が添えられていました。
でも、いい大人のわたしも、このお話の世界にすっかり入り込んで、胸をえぐられ、苛立ちを感じ、セミの声を聞いたんです。
読んでいるとヒリヒリと胸が擦り切れそうなのに、一言一句のすべてに想いが込められていて、読み流すことなんてできない。
最後の最後には堪えきれずに涙が出ました。
わたしの拙い表現力ではこのお話の良さをとても説明できません。
ぜひ、作者さまの描いた世界を感じていただきたいです。
素敵な作品をありがとうございました。
本編には登場しないにもかかわらず全体を通してただよう歩太の存在感。
死に翻弄され歩太の過去をさまよう七海と
生を宿し未来を見て歩太を整理する尚子の対比。
恋に触れ静から動へと移行する歩夢のこころ。
青い鳥を見つけたかった歩太と、魚でいることに捉われた七海。
生のはじまりであり、終わりであり、母なる愛を称える海。
ブルーの手紙。
歩太のコーヒーと歩夢の煙草。
時間が経つにつれ変化していく彼らの感情。
象徴的ないくつもの事象が絡み合って紡がれる生と死と愛の話。
物語に漂う独特の雰囲気にあっというまに呑みこまれました。
明るくはないテーマは正直重く、ずっしりとこころに横たわって簡単には消化できません。
だからこそ書籍でじっくり読みたい。
著者様の気持ちが強く込められた作品だと思いました。
素晴らしい、のひと言です。
――今日、僕はクラスメイトを犯してしまった―― 最初から引き込まれました。なかば強引に。 情景が瑞々しく、痛いくらいに描き出されていて、心臓を静かに掴まれていくように感じました。 主人公の葛藤は誰もがぶつかり得るものだと思います。 自分という存在への懐疑というか、確信というか、 周りの存在で自身の輪郭を得るというか…。 一言では表せない複雑な心情が、丁寧かつ繊細な筆致で綴られていました。 魅力的なキャラクターと軽妙なセリフ回し。 なにより文章を追うのが楽しくてたまりませんでした。 尊敬する作者様の大好きな作品がまたひとつ増えました。
――今日、僕はクラスメイトを犯してしまった――
最初から引き込まれました。なかば強引に。
情景が瑞々しく、痛いくらいに描き出されていて、心臓を静かに掴まれていくように感じました。
主人公の葛藤は誰もがぶつかり得るものだと思います。
自分という存在への懐疑というか、確信というか、
周りの存在で自身の輪郭を得るというか…。
一言では表せない複雑な心情が、丁寧かつ繊細な筆致で綴られていました。
魅力的なキャラクターと軽妙なセリフ回し。
なにより文章を追うのが楽しくてたまりませんでした。
尊敬する作者様の大好きな作品がまたひとつ増えました。