川瀬みちさんのレビュー一覧

★★★★★
2017/03/12 23:24
ネタバレ
それが恋と言うもので。

恋愛をする条件に「ポテトチップスうすしお」を上げる、という理論を掲げる主人公。そう説かれると、なるほど、とも思えるのが不思議です(笑)
気になる人ができたとき、見極めるなんてことはもしかしたらまだ冷静な証なのかもしれません。
痛い目をみたくないのは誰も同じで、手堅く自分を幸せにしてくれる人、つまり、自分だけを見てくれる人(うすしおさん)を選びたいものです。
けれど不思議なもので、冷静でいられなくなる瞬間はやって来ます。高田くんの選んだポテトチップスに、その言動に一喜一憂。それはもう仕方の無いことで、だって恋は頭でするものではないのですから。
恋に落ちてしまったら、例えばうすしおさんじゃなくっても、始めてみるのも良いかもしれません。
手堅い幸せよりも、ふたりで作り上げる未来のほうがもしかしたら何倍も素敵かも。
さて、このあと宅飲みはどんな展開になったのでしょう?楽しく読ませて頂きました。

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★★★★★
2017/03/05 00:01
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これからも、この食卓を囲むのは

二人で選んだこの食卓に、あなたの好きな料理を。あなたが作った料理を。そして食べるのは、あなたとふたりがいい。
この二人、仕事面では上司(女)と部下(男)でも、ひとたびそこから離れると主導権はくるりと逆転。
タイミングを逃さず、押すところは押して、しかも料理も完璧、お掃除上手のオカン男子。惚れた方が負け、とは言うもののこの場合はどちらが負けなのか。いや、ある意味どちらも勝ちなのか?
きっかけは些細なことで、胃袋を捕まれたのはむしろ琴子の方だけれど、好いた惚れたで言うならば鈴木くんの方が先なのかな。
一人のご飯は味気ない。一人だとなにもする気にならない。だから適当で構わない。多分、誰もが共感できる所から物語はスタートして、どことなく、あるかもしれないこんな話、なんてワクワクしてしまう。きゅっと胸を捕まれたような甘さと切なさがお話のスパイスとなり、最後は二人のこれからを応援したくなるお話です。

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★★★★★
2017/03/04 10:34
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キーワードは“なんとなく”

なんとなく、を繰り返す日々。
それは普通の日々なんだけれど、あえて“なんとなく”と言ってしまうとどことなくだらけて見えてしまう……ように感じること、ありますね。
この主人公もまさにそうで、なんとなく卒業後の進路は家事手伝い。なんとなく実家暮らしのまま、なんとなく付き合い始めた人と、なんとなく続いてて……
だけども思うのは、なんとなくでも自分で選んでいるんだよね、てことです。世の中の多くの人は似たようなものだと思います。もちろん、すごく悩んだり大きな決断をする人もいるでしょう。そんなときもあるでしょう。けれど、哲生の言うように、そんな日々ばかりでは疲れてしまう。日常はなんとなくの積み重ね、それでいいのだと思います。大切なのは、そんな自分を時には肯定してあげることなのかも。それは甘えとは違うんだとおもいます。
明確に好きになる瞬間がなくたって、なんとなくでも素敵な恋は生まれるのでしょう。

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★★★★★
2017/03/03 09:46
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だって家族だもん

これがこの家族の日常なんだ、と思いました。
借金を残して父が家を出て。
辛くないわけない、寂しくないわけない、悲しくないわけがない。だって家族だもん。
家族だったのに、居なくなって。あまつさえ借金なんぞ残していっちゃって。
だけど、なんでだ?その借金がくれたものは以前より強い家族の絆。一致団結した家族は強く、女は強い。やりきれない思いに時に涙もあるけれど、それも日常。
やがて彼女は嫁にいく。家族がまたいなくなってしまう。寂しさは幸せと表裏で、日常が変わる。だけど大丈夫。だって、彼女たちは皆、家族だから。
あれ?そっち?予想を裏切らせるのは相変わらずお見事です。すっかり騙されました。
淡々と進むようでいて、暖かな日溜まりのようで。浮き彫りになる感情に、心揺さぶられました。
きっと食卓には、笑顔のある日常がこれからも続いていくのでしょう。

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2017/03/02 23:15
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ご飯は心を豊かにする。

暖かいご飯には、人の心を豊かにする効能があるのかな。
それとも一緒に食べる人がくれるのかな。
どちらにせよ、人が生きるために必要なのは“食事”だけれども、豊かに生きるために必要なのは一緒にゴハンを食べてくれる“誰か”なのかもしれない。
瑞菜のお母さんに愛情がなかったとは思いません。他の誰かに粗方を委ねていたとはいえ、瑞菜は立派に成長していたわけですし。ただし、愛情のかけ方は間違っていたのかもしれません。人は、甘える人がいて初めて“甘え方”を覚えていくのかもしれないな、と感じました。
お料理は不思議です。少しの手間で美味しくなる。見た目通りの味もあれば、見た目に想像してなかった美味しい物もあります。それは人も、人間関係も同じなのかもしれません。
優しくて、ほっこりできるお話です。どうぞご賞味あれ。

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2017/01/31 02:02
ネタバレ
未練を残した人生ならば

手紙を出してみませんか。
どうやら辿り着いたのは郵便局のようで、けれどなんだか様子がおかしい。そこは、あの世とこの世の境界線。美味しいお茶(コーヒー含む)に誘われて、店主と話せば伝えたい気持ちが見えてくる。

待っていてくれる人がいる。気持ちを繋いでくれる人がいる。
それはとても幸せなことだと思います。けれど、なぜだか人と言うのは“待っていてくれる”ことに、気づかない。どうせ自分なんか、を口癖にしてしまえば本当にそのようになってしまうような気がします。
待っていてくれる人がいると知れば、人は努力を始められる気がします。どこかで見てくれている誰かに恥じぬよう。
生きることはとても面倒くさいことです。人と関わり合い続ける問うことですから。けれど、その面倒なことこそ愛しくて尊い。
ヨミが武俊の去ったあともヨミタケ郵便局と言い続けたのは、多分、彼もまた生きていたかったからかなと思います。

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2016/12/01 17:02
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等身大の

タイトルに惹かれて読ませて頂きました。そして読んでよかった、と思わせてくれたお話でした。

人と比べてしまうタイミングは色々とあると思うんです。
例えば学生時代。恋愛だけじゃなくて、勉強とか部活とか。社会人になってきたら、同じく恋愛とか、仕事とか。
それが女子の場合、現実味を伴ってくるのはアラサーです。結婚、子供、仕事のキャリア、色々なものを現実的に捉えると焦り出すものです。恋愛=結婚に結び付くか、とか。
この歳でする恋愛はつまり、そういうことで。相手の脈が有るのか無いのかわからないのに踏み出す勇気は中々でません。
小さなポイントを重ねて引き換えたのは大きな愛。それは、その人への向き合い方がシフトしたからかな、と。見てこなかった色んなものは、見方によって違う色を見せることがあって、それに気づけば向き合い方が変わります。
だからきっと紗里亜さんと伊月くんが恋に落ちたのも必然だと思います。

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★★★★★
2016/11/30 13:55
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日々を書く。

エッセイって、面白い。そう思わせてくれました。
エッセイ自体あまり読むことが無いのですが(たまに、さくらももこさんとか読むくらいで)こと、ネット小説に至ってはこの作品が初でした。
エッセイというのは自分の言葉で考え方や日常を綴る分、物語を書くよりある意味で責任感が増すのかもしれません。そして問われるのはセンス。
例えば伝えたいことに対して、物語ならば主人公以外の登場人物も踏まえて多角的に伝えていくことができます。しかし、エッセイとなると基本的に自分が全てを発信していく。言葉のチョイス1つで印象が変わります。
読み捨ててしまえるような、という体で書かれたこちらは、まさにそのテーマに沿うように書かれていて、かつ言葉のチョイスがドンピシャで私の好み。一度読んだだけでも満足感の高い仕上がりです。
人の世界を覗くと新しいものに出会える。そんなことを思えるエッセイでした。

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2016/11/30 09:30
ネタバレ
嘘ではないが、本当でもない。それは本心?

敵を欺くには味方から。策士策に溺れる。
初めから、終わりを見るとこんな感じでしょうか?
“言っていないだけで、事実ではない”噂話をベースに成り立たせているお話ですが、噂話とはつまるところ、別の誰かのフィルターを通したお話。もちろん人間関係を築くには“本人”と向き合っていかなければいけません。その対比が上手い。
資料を見ればわかることもあるけれど、人間というのは付き合っていかなければわからないもの。
嘘ではない本当でもない“臨時”秘書という仕事に巻き込まれながら、築き上げた関係性は本物。それは、口にするもの、態度にするものに本心が表れているからかな、と。
ベースがしっかりしているので、ある意味でハチャメチャなように見える(主に主人公の心の声が)お話でも、立派にオフィスラブです。引き込ませるお話作りには、さすがの一言です。
そして、美和に巻き込まれているのはある意味、社長も同じかもしれません。

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★★★★★
2016/11/25 23:23
ネタバレ
つまりは単純に。

本当に、この作者様のファンタジーははずさないな、と。

利害関係の一致、初めの関係性はこれだと思います。
契約のもと、フリードに嫁いできたエミーリア。求められたものは花嫁でありながらも、女性らしさよりも、度胸とか、そういうものかもしれません。
けれどそれだけだったら多分、フリードはエミーリアに惹かれなかったのではないかな?と思います。契約であるという点での信用。多分そこまで。
彼女がエミーリアであるために、フリードは彼女に惹かれていったんだろうなぁ、と。
持ち前の明るさ、気丈さ。そして人を愛することができる素直さ。お互いに惹かれ合っていくと、信用だけでなく信頼が生まれてくる気がします。
契約で結ばれた二人の関係性は、少しずつ変化して、近づいて。いつしか信頼関係を結んでいたのかな。何て思いつつ。
でも多分、いろんなことを考えても結局、つまりは単純に“好き”なだけかもしれません。

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★★★★★
2016/10/19 00:02
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あなたを幸せに

初めの数ページを読むと、えぇ?って笑ってしまうでしょう。だって、現れた女の子(ヒロイン)は自分のことを雀だと言うのですから。
物語は楽しく、優しく、徐々に確信に触れていきます。それはもう、作者様の術中にうまくはめられて気づけば物語から目が離せなくなるほどに。
このお話のテーマはきっと初めから一貫して出逢いと別れ、そして幸せ。すごく分かりやすい、誰もが感じ、経験するものです。
出逢いと別れを繰り返すなかで、人が幸せを感じるのは些細なことです。誰かに優しくしてもらっただとか、ご飯が美味しいだとか。好きな人が傍に居る、だとか。
幸せにしたい!と奮闘するスズメちゃんは健気です。貴方が幸せなら、私も幸せ。けれど忘れてはいけません。君が幸せでないと、僕も幸せになれないってこと。それなら、ふたりとも幸せにならなくちゃね。
最後は誰もが納得するエンディング。この先のふたりに、沢山の幸せが降りますように。

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★★★★★
2016/10/18 10:38
ネタバレ
おしゃまな女の子

と、言っても主人公は猫。好奇心旺盛な、ママからたっぷりと愛情を注がれた、黒猫。

物語は、野良猫暮らしから飼い猫になるまでの子猫の冒険、と言っても良いかもしれません。
けれどその冒険物語には、人間の様々な身勝手さが反映されています。
人間も猫も、他の動物も、広く見て植物も。
ただ、生きているだけです。けれど、ルールを設けたり、自分勝手に生き物を飼ったり捨てたりすることの多くは人がしていることです。
小さな黒猫にも大きく揺れる感情はある。言葉を話さないからと言って、傷つく心を持っていないわけではないのです。
嬉しい気持ちも、悲しい気持ちも、同じ心で感じます。
ミネちゃんというお友だちができても、ママやお姉ちゃんにはもう会えない。だからモカちゃんは、きっとお月さまに向かって今日も、にゃおん、と鳴いているのでしょう。
その鳴き声に、色んな想いを乗せて。

動物好きな人にも呼んで欲しい作品です。

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★★★★★
2016/10/09 01:28
ネタバレ
水墨画のような

陰影のある奥行き深いお話だな、というのが第一印象でした。水墨画のように感じるのは、歴史ファンタジーだからかもしれません。
読み進めていくと浮き彫りになる因縁、対して和ませるシーンの調和が読み手を物語に引き込んでくれます。
章親の持つ劣等感は、ある意味で親近感がわくというか、現代にも多分、共通する気持ちはあるはず。自分ではわからない自分の能力は人から見れば羨むものかもしれない。道仙にも本当はそういうところがあったのかもしれない。何が両者を二分したか。自分の身の丈を知り、それでも人を恨まず、他者には感謝を。自分の力を過信し、燻るのは人のせいだと恨み、他者を蔑む。出自の違いと言えばそれのせいかもしれないけれど、人に向けた心は自分に返ってくると私は思います。惟道という存在は、このお話の中でそれを具現化しているようにも感じました。
人間臭さの滲む歴史ファンタジー、楽しく読ませて頂きました。

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★★★★★
2016/07/22 01:46
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隣の芝生は

自分に自信があるか?と問われたら、何%の人がyesと答えることができるだろう?誰にだって、良いところと悪いところが存在する。そして、その“悪いところ”は他の誰かから見たら“良いところ”なのかもしれない。
隣の芝生は青く見える。だってあっちは日が当たる。こっちは建物の影で日も当たらない、なんて。きっと環境のせいにする人も多いだろう。けれど見方を変えてみれば、違う発見があるかもしれない。日陰だからこそ、人は涼みに来るかもしれない。
芝生は場所を選べないけれど、人は動くことができる。きっかけを元に、行動することができる。自分が変われば、人も変わる。居場所は、自分で作ることができるのだ。とても面倒くさくて、大変で、勇気がいるかもしれないけれど、曲げられない、負けられない何かを見つけたら。逃げずに立ち向かって、足掻いてみよう。
大丈夫、不要な人などいないのだから。大丈夫、きっと上手くいくはずだから。

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★★★★★
2016/07/21 23:40
ネタバレ
あと一歩、の勇気。

特徴的な設定だな、というのが1つ。けれどそれは突飛な物ではなく、誰にでも経験がありそうなこと。好きだけど、好きだから。その気持ちが爆発してしまったら、人はどんな行動に出るのだろう?色んなパターンがある中で鈴に現れたのはスキサケという行動。それはある意味では、とても素直な行動なのかもしれません。それに対する、康介くんの行動は同じく、素直でかつ、真っ直ぐ。そして二人に共通するのは、不器用な所なのかもしれません。
物語はラブコメですが、ベースには“人を思いやる気持ち”と“勇気”が込められています。
自分の気持ちに手一杯になると、時に人は人を傷つけてしまいます。そして、時間が経つほどに向かい合う勇気を無くし、そのままにしてしまう。相手の気持ちを知ろうとすることもなく。
けれど、人間“関係”延いては恋愛“関係”においてはひとりでするものではありません。
向かい合う、あと一歩の勇気をくれるお話です。

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2016/07/21 22:12
ネタバレ
言葉の力。

トラブルが起きた時に、すみませんの言葉を出す人は多いはず。それは初音も同じで、仕事柄多用する言葉のひとつなのだろう。この物語には、謝罪についてのそれぞれの考え方が根本にある。つまりそれが題名、謝罪のプライドだ。
けれどそんなプライドをもって生きている人、働いている人はどれくらいだろう?なんとなく、で過ごしている人も少なくないはず。けれどその人たちにも感情はある。些細なことで傷つくことも励まされることも、感動することも。それを表側に出す手段はいくつかあるけれど、言葉にすることは有効な手段のひとつだと思う。感情のこもった言葉は、それだけですごい威力を持つ。
この物語の主軸は謝罪だけれど、それにまつわる様々な感情によって描かれる人間模様、恋模様が深く胸に突き刺さる。悩み、惑い、切なく揺れる女心は自分に経験があろうが無かろうが、共感できる。それでも変えられない恋心がここにあると感じられる物語です。

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★★★★★
2016/05/24 10:38
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彼女の諦めきれなかったもの

起こる出来事をただの“事象”として片付けてしまう。最初から期待しなければ、傷つくこともないから。でも、それは感情が無いことと同義では無い。諦めがいい、と自称するほどの早苗が諦めきれずに手を伸ばしたのは、愛ではなくて、隆幸そのものかなと感じます。
手を離さないで、と言うけれど、そのためにはその手を取り自分も離さない勇気が必要。けれど、その勇気の多くは隆幸が与えたものだし、奪ったものでもあると思う。その分、もう一度奥底に沈んでしまったけれど、その時には十分、心に触れられる存在で、だからこそ避け続けて。引っ張りあげられたときに、早苗はきっと綺麗に笑えたんだろうなぁと思います。
修正前のものより、早苗の心情が掘り起こされているように感じました。けれど、読者に問いかける“間”もちゃんと存在していて、あの頃の世界観は健在だな、と。
やっぱり泣かせて頂きました(笑)

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★★★★★
2016/05/20 00:15
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桜が綺麗だね

大好きだからワガママを言ってしまう。
大好きだからそのワガママを受け入れてしまう。
どこかで誰もが経験していることかもしれないけれど、人と“対等”に付き合うなら、一方的に甘えてしまうのはNG。産まれてきたときからずっと一緒にいるのなら、なおさらかもしれません。
バスケ部の先輩、好きだなぁ。ハッキリしすぎてて怖いけど(笑)
紅葉のことが大好きすぎる胡桃は、今はとっても狭い世界のなかにいるかもしれないけれど、この先にきっと広い世界が待っている。
体が弱いから、を良いわけにしてお互いにぶつかり合いきれなかったのは幼さも手伝っていたかな。大人になったら、とっても素敵な姉妹になれるよ。ふたりが目にしている桜は、きっと同じように綺麗だから。

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2016/05/19 03:49
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世界の全て

18年生きただけでそれを決めてしまうのはあまりにも無謀。だけど、そんなものは結局、言い訳に過ぎないのかもしれない。
この先にもっといい人が。前に進みなさい。
雪緒はそう言って大きな愛で包むけれど、渚は同じだけの愛でもって、その恋を貫いた。

死を覚悟して、受け入れること。
それは一辺から見るととても悲観的に映る。実際、最初に渚を突き放した雪ちゃんにはそういう面も感じたけれど。二人で手を取り、周りの人達とも不器用ながらもがいて足掻いている姿には“その時”まで精一杯生きる覚悟を感じました。
人はあっけなく死んでしまいます。健康だと思っていた人がいつまでも健康であるとは限りません。でも、その事に、気付いていても気づかないふりをしてしまう。期限を突きつけられてようやく思い出すのです。本人も、周りの人も。大それたことをしなくても、その命を大切に生きてみて欲しい。
命の煌めきを深く感じたお話でした。

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2016/05/01 23:20
ネタバレ
心にあるもの

夢は見るもの?何を差し置いても、それは必要?
問いかけるものの多い作品だな、というのが印象的でした。
主人公の夢からスタートした物語はその『夢』が、各所キーワードになり進んでいきます。
出会いも、共に過ごした時間も、別れも、そして、再会も。

諦めきれずにいたのは、自分の中の大切なものだから。夢も、恋も。心の中にしか感じることはできません。トメさんとお話ししているのは、トメさんを介して、心を見つめ直している時間なのだと思います。
人生は一筋縄ではいかない。思いもよらないことに遭遇したとき、人は、何かから試されているのかもしれません。それでも捨てきれないものがあるならば、とことん付き合ってみて欲しいと思う。だって、自分のことなんだから。
夢は見る為のものじゃなくて叶える為のもの、ですから。
タイトルも、素敵です。きっとこれからは何かに試されたって『わらって』過ごしていけるはず。

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