君に捧げる一途な愛
素直な気持ち
ふっと意識が浮上しゴロリと寝返りを打つ。
あれ、いつも私の寝ているベッドのシーツの素材が違う気がする。
こんなに肌触りのいいものだったかな。
そんな疑問を持ちながら、ゆっくりと目を開けた。
えっ、ここどこ?
身体を起こして周りを見回した。
重厚感のあるブラックとグレーでコーディネートされた十二畳ぐらいの広さの寝室。
ベッドは大人が二人寝ても十分余裕のあるクィーンサイズ。
シーツはシルク素材なのか、ツルツルと滑らかだ。
ちなみに、私のベッドのシーツはナイロン素材……ってそんなことはどうでもいい。
この部屋の主は間違いなく男性だ。
私は思わず、自分の身体を確認した。
白のシフォンブラウスにネイビーのワイドパンツ。
寝ていたこともあり、シワになっていたけど、服は脱いだ形跡はなし。
今の自分の現状を理解しようと考える。
確か私は由香と一緒にバーで飲んでいた。
そこへ、由香の兄の幸也さんと小笠原課長が来た。
それからの記憶は曖昧だ。
ということは、この部屋は幸也さんか小笠原課長の二択?
ベッドを降りて恐る恐る寝室のドアを開けた。
えっ?
見覚えのある廊下に唖然とした。
先週の記憶がよみがえる。
ここは小笠原課長の部屋だ。
リビングのドアが少し開いていて、そこから明かりが漏れていた。
私はそっとドアから中を覗くと、リビングのソファに座っている小笠原課長と目が合った。
「あ、起きた?」
そう言うと、小笠原課長は立ち上がって入り口まで歩いてきた。