【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部更新中】
ドルレアン国三日目はカンウェイ炭鉱見学
カンウェイ炭鉱はビシエラ山や王城からは反対に位置し、海の方へ向かって行かなくてはならない。
もしかして、大昔は海だった場所なのかしら……確か石炭が生成される土地って湿潤な土地に色々な物が堆積して……だったような。
ビシエラ山の方はあまり森林地帯はなくどちらかと言うと乾燥気味で、海に近付くにつれ湿気が多い気候になっていく。
森林も増えてくるし川もあり、そんな中を馬車で揺られながら進んだ先にカンウェイ炭鉱があったのだった。
炭鉱までの道のりは静かだったのに、炭鉱に着くと人が沢山いて、とても賑わっているのが伝わってくる。
馬車がゆっくり停車したので降りると、レジェク殿下に気付いた者たちが一斉に近づいてきて挨拶をし始めた。
「殿下!ようこそ、このような場所においでくださいました!」
一人の大柄な炭鉱夫が真っ先に殿下に挨拶をする。
「ああ、突然すまない。ザンダ鉱夫長。こちらはハミルトン王国からいらっしゃっているヴィルヘルム王太子殿下と婚約者であるオリビア嬢、ご友人のイザベル嬢だ。今日は坑道の中を見学に来た」
「よろしく頼む」
レジェク殿下が紹介してくれたのでヴィルが挨拶をすると、ザンダ鉱夫長は恐縮しきりで地面に頭が着くのではというくらいの挨拶をしてくる。
「へ、へへ――!私のような者にまでご挨拶してくださって、感謝いたします!」
鉱夫長はヴィルよりもひと回りも大きく、年齢は50歳は過ぎてるかしら。
ベテラン鉱員といった感じで、彼の態度などで周りの鉱員とはちょっと立場が違う感じが伝わってくる。
「さっそく中を見せてもらおうか」
「そうね」