【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

悪役令嬢は奮闘中

 皇太后のサロンで悪役デビューをしてから、エリアナは妃候補たちが開くお茶会に誘われるようになった。
 それにともないというべきか、目論見どおりというべきか、妙なことが起こりはじめている。

 先に参加したお茶会は庭園で行われたのだけど、道すがらと会場に『転倒』の呪いがたくさん仕掛けられていた。
 誰かが転んでけがをしたら大変! と、「そこを退いてください」と場所や道を開けてもらい、せっせと呪物を壊して回ったのである。

 おかげで山ほど痛みを食らってしまい、「ううう、痛い……」と涙目になったところをマリービクスに慰めてもらったのだった。

 垂れ流しの力を制御もできず、気づかぬうちに呪物に触れて痛みを食らうこともあるのだ。まったくひどい任務である。

 ──早く犯人を特定して、平和な選定試験にしないと!

 エリアナは改めて「ふんっ」と気合を入れなおした。

 今日は皇太后主催のお茶会で選定日。さっそく会場に向かっているところだ。先のサロンでの発言通りに陛下も参加する。

 陛下の参加が決まったのはエリアナの活躍があったからではなく、妃候補と親睦を深めたいとのたまっていたから、らしい。

「なんだと? ヘイブンが参加するなら俺も行くべきか?」

 そうブツブツ悩んでいたのはルードリックだ。

 美しく賢い妃候補が居並ぶ選定の会にルードリックが参加するには、皇太后からの正式な招待となる。参加者たち全員に大公殿下も婚約者候補を探していると取られることだろう。

 陛下や皇太后からもやぶへびをいただくことは間違いなく、きっと参加はないだろうと思う。

 ──陛下出席のお茶会。何事も起こらなければいいのだけど……。

 不安や心配は的中するもので、会場に向かう途中ピリッと嫌な気を感じた。前方を確かめれば、ゆらゆらと立ち上る黒い靄が見える。

 ──あれは、転落の呪い!?

 階段の最上部に仕掛けられたそれからは靄が揺らめきながら伸びて通せんぼをしている。足に絡んで転がり落ちれば無傷では済まされない。最悪を考えればゾッとする。

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