The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルレイア

─────…その頃、俺は夢を見ていた。



言うまでもなく、悪夢だ。

船の中で見た悪夢とほとんど変わらない。

帝国騎士官学校の教室で、クラスメイトや、その他の大勢の死体に囲まれていた。

教室から逃げ出して、学生寮に辿り着くも。

そこには思い出したくもないルームメイトがいて、彼らが俺を睨んでいた。

何とかして、俺は逃げようとした。

そう。ここは俺を傷つけた。殺すほどに傷つけた。

でも同時に、俺に救いも与えた。

ここは俺にとって、救いの場所でもあるのだ。

だって、「彼」に会えたから。

「彼」が、俺を救ってくれるはずだ。

そう言ってくれた。何度でも、何度でも俺を助けてくれると…。

それなのに。

「…!?どうして…?」

助けは来なかった。

ルームメイトの骸が、俺を取り囲んだ。

救いは何処にもない。

こんなのはおかしい。現実と違う。

ここで助けてくれるはずなのに。「彼」が来てくれるはずなのに…。

それなのに、「彼」は来てくれなかった。

黒くもやがかかったように、救いの手は閉ざされていた。

助けてくれなければ。

「彼」が助けてくれなければ。

俺は永遠に、ここに取り残されたまま。

誰の救いもなく、ここで朽ちて、腐っていくだけ。

「…嫌だ…」

俺は、必死に手を伸ばした。

助けて。

誰か。

こんなところで死にたくない。こんな風に苦しんだまま、傷つけられたまま、闇の中で、一人で死にたくない。

「誰か…たす、け」

伸ばした手を。

誰かが。

掴んだ。

その瞬間、俺を取り囲んでいた闇が、消えた。





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