The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルレイア

──────…ルアリスから聞かされたのは、非常に忌々しい話だった。

「…へぇ」

ルアリス自身も、青ざめた顔をしていた。

まぁ…こいつにとっても、他人事ではないからな。

本当にミレド王が、ルティス帝国侵攻を目論んでいるのなら…。

ルティス帝国と隣接した箱庭帝国、そしてアシスファルト帝国にとっても…他人事ではない。

「…正気なんですかねぇ、ミレドとやら…」

「…少なくとも、彼は本気で計画しているようでした」

だろうね。

だからこそ、ルアリスに共闘を持ちかけたのだ。

「それで、あなたはどうするんです。ルティス帝国とシェルドニア王国が戦争を始めたら、あなたはどちらにつくつもりですか」

「ルレイア殿…!俺はあなたと、ルティス帝国に恩がある。当然、つくとすればあなた方です。戦いたくはないですが…。もし本当に戦争となれば、箱庭帝国も中立の立場ではいられないでしょう」

そりゃそうだ。

当たり前のように箱庭帝国も巻き込まれるだろう。

戦場のど真ん中に立っておきながら、「私は中立です!」と宣言して、何の意味がある。

宣言する前に撃たれるに決まってる。

「箱庭帝国は大した戦力にはなりませんが…。それでも…俺はルレイア殿、あなた方の味方です」

「…それを俺達に話せば、あなたの首が飛ぶことになりかねないって分かってます?」

ルアリスが『青薔薇連合会』に、シェルドニア王国のルティス帝国侵攻計画をバラした、などと。

ミレド王に知られてみろ。よくもチクりやがったな、とルアリスの首が狙われることになりかねない。

それを分かってんのか、この馬鹿は。

すると。

「…分かっています。でも…そうせずにはいられなかったんです」

「何で?」

「恩人であり、親友でもある人を守るのに…理由が必要ですか」

「…」

…この、馬鹿。

本物の馬鹿だ。

俺は手を伸ばして、ルアリスの額に軽くデコピンをくれてやった。

「あ、いた…」

「本当馬鹿。自分の背中には一国を背負ってるんだってこと、忘れましたか」

「いえ、忘れてはいませんが…それはそれと言うか…」

全く。まだまだ国家元首としての自覚が足りないらしいな。

「…ありがとうルアリス。あなたのお陰で助かりました」

「へ…あ、え?」

何だ、その鳩豆鉄砲顔は。

元々間抜けなのに、更に間抜けになったぞ。

「る、ルレイア殿が俺に感謝…え?ま、まさかまだ洗脳…いや、そんなはずは…」

何をブツブツ言ってんだ、おい。

それはともかく。
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