The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルレイア

─────…さてと。

「回想終わりました?俺待ちくたびれたんですけど」

「うっ…く…」

ルシードは、必死にアシミムを守ろうと手を伸ばしていた。

忠誠心厚い姿が美しい?

決して諦めない姿が誇り高い?

笑わせるな。見苦しい死にかけの野良犬にしか見えねぇよ。

「やーい負け犬~♪わざわざ大金かけて外国から俺達を拉致したのに、返り討ちに遭って死にかけるとかダッサ。あ~草生える~♪ねぇルルシー」

「あのなルレイア…。煽るな」

「でも気持ちは分かるぞルレイア先輩。どうする?バリカンあるけど。殺す前に縦ロール刈っておくか?」

「ルリシヤ素敵!なんて準備が良いんでしょう!」

「何なんだよ、お前の準備の良さは…。四次元ポケットか」

今までず~っと、この縦ロールが不愉快だったからな。

是非とも丸刈りにした姿を見てみたい。

「や、やめてくれ…。この人を、殺さないでくれ…」

ルシードは、必死に俺達にそう訴えた。

「あれ?何か言った?空耳が聞こえた気がしますね」

「主を殺さないでくれ…。この人は、何も…」

「何も悪いことしてないとでも言うつもりですか?」

「…」

よく言ったな、この野郎。

俺とルルシーの愛の絆を妨害するという、大罪を犯した癖に。

「ふざけたこと言いやがって。なぁ?俺もあなた方を洗脳して、ルティス帝国に連れてきて、俺の経営してる風俗店で朝から晩まで働かせてあげましょうか?」

まぁ年増のババァとヤりたい男なんていないだろうけど。

ルシードの方は、それなりに人気が出そうだな。イケメンだし。

「それくらいされても文句は言えない…どころか、拷問されて殺されないだけ感謝してもらわないといけないですよね?」

「…」

ルシードは、悔しそうに唇を噛んだ。

ようやく分かったか。己の立場が。

「…どうやらお宅の国には、マフィアの類はいないそうですね。だから知らなかったんでしょう。精々街の不良集団とでも思ってたんでしょうね?…でも」

ボディーガードのルシードを失い、呆然と俺達を見上げるアシミムの、ムカつく縦ロールを乱暴に掴み、無理矢理上を向かせた。

「…マフィアに手を出したんだ。死ぬまで切り刻まれて豚の餌にされる覚悟くらいは…当然、してますよね?」

「…!!」

アシミムは、みっともなくぼたぼたと涙を溢した。

がくがくと震える姿は、全く憐れなものだ。

素敵なゲロ顔をありがとう。

とってもぶっさいくだよ。
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