The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルレイア

───────…柄にもないことを言ってしまったが。

効果は覿面だったようで。

華弦は、手に持っていたナイフを落とした。

「…シラノがあなたを許しているのなら…私に、あなたを罰する権利はありません」

「…!」

「謝ってきなさい。あなたが傷つけた全員のお墓の前で。三日三晩土下座して謝りなさい!そして…一生後悔すると誓いなさい」

「ゆ…許して、くれるのか?」

殺されると思っていたらしいラトヴィは、ナイフを落とした華弦に驚いていた。

「許すはずがないでしょう。私から親友を…家族を奪った男を、私は決して許しません。でも…今のあなたを殺しても、死んだ者は誰も喜びません」

…そうかもね。

死者の言葉なんて、俺達には聞こえないけど。

「ならば生きなさい。生き恥を晒しながら、贖罪の為に生きなさい」

「…あ、ありがとう…ありがとう…」

「…」

華弦は、気持ち悪い生き物でも見るようにラトヴィを一瞥して。

もう二度と、アシミムとラトヴィの二人を振り返ることはなかった。



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