The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルルシー

─────…ルレイアの声が、いきなり低くなった。

「…ねぇ、ルルシー。俺の記憶が間違っていなかったら、の話なんですけど」

「ん?」

「俺が洗脳されてたとき…二人共、ヘールシュミット邸に潜入してきましたよね」

「あぁ…。あったなそんなこと」

まぁ、捕らえたと思ったら秒で脱獄したんだが。

それが何か?

「…あのときルルシー、あなた…メイド服、着てませんでした?」

「…」

…あ?

「…しかも胸パッドまで仕込んでませんでした!?」

…。

「…お前の記憶ってさ…。そういうところは詳細に覚えてるよな…」

「忘れる訳ないじゃないですか!」

出来ればいち早く忘れて欲しいんだけどな。

実は俺も忘れたい。

それなのに。

「あぁ俺の馬鹿!あのときの愚かな俺は、あれがどれだけお宝シーンだったか分かっていなかったんですよ!見たい!もう一回見たい!見せてくださいルルシー!全然堪能出来なかったんですよ俺!あのとき!」

「断る!二度と着るかあんなもん!」

「あんなもん!?」

あんなもんに決まってるだろ。

他にどんなもんだよ。

と思っていると、ルリシヤがにやにやとしながら、とんでもないことを言い出した。

「ふっふっふ。悪いなルレイア先輩。俺はたっぷりとルルシー先輩のメイド服姿を堪能させてもらったぞ。何せ服とウィッグを選んだのは俺だからな。何ならルルシー先輩の生着替えも見たぞ」

「おまっ…!気色悪い言い方をするな!」

余計なことを。

案の定ルレイアは、ぶるぶると震え出した。

「…~っ!!」

「お、おい、ルレイア?」

「ズルい!ズルいズルいズルい!俺も見たい!ルルシーの生着替え見たい~っ!!」

涙目になりながら、子供みたいに喚き始めた。

「ばっ…機内で叫ぶな!」

いや、ファーストクラスだから、俺達以外いないけど。

だからってギャーギャー騒いで良い訳じゃない。

それなのに、ルリシヤは更に煽ってくる。

「あぁそうだ、着替え中、胸パッドを仕込むとき、ルルシー先輩の生おっぱいにうっかり。うっかり触ってしまった。悪いなルレイア先輩。うっかりだから許してくれ」

「こらっ!ルリシヤ!煽るな!」

「…」

「お、おいルレイア?」

…ルレイアは、黙り込んで震えていた。

…嫌な、予感がする。
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