The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルレイア

─────…二時間後。

飛行機が、ルティス帝国の空港に到着した。

「はー、ルティス帝国の空気は美味しいですねー」

「全くだ…。色々あり過ぎて疲れたよ」

入国審査を抜けて、やれやれ、とエントランスに出た、そのとき。

「あっ!来た!」

懐かしい声が、俺達を呼んだ。

あれ?と顔を上げると。

「るっ…ルレイアぁぁぁっ!会いたかったぁぁ」

涙で顔をくちゃくちゃにしたシュノさんが、思いっきり抱きついてきた。

うぉっ、びっくりした。

「ふぇぇぇぇん!ルレイアぁぁぁっ!」

「あ、あはは…。シュノさん、お久し振りですね」

シェルドニアを出るとき、「これから帰りますね」と向こうから連絡したのだが。

まさか空港に出迎えに来てくれているとは。

そして、シュノさんだけではなく。

「おめーら!帰ってきやがったか!ったくどの面さげて帰ってきた!心配かけやがって!おけぇり!」

「あ、アリューシャ」

今日も元気なアリューシャと、それから。

「無事に帰ってきてくれて、何よりだよ」

「アイズ…」

実に、懐かしい顔触れである。

出迎えに来てくれたのは、幹部組は勿論のこと、

「寂しかったわ。よく無事に帰ってきてくれたわね」

にこにこ、と嬉しそうなアシュトーリアさんの姿も。

わぁお…。皆勢揃いじゃないか。

「心配かけましたね、皆さん。ただいま」

「どうなることかと思ったけど、帰ってこられて良かったよ」

「このルリシヤ・クロータス、恥ずかしながら帰って参りました」

しゃきっ、と敬礼を決めるルリシヤ。格好良い。

それ俺もやる。

「ふぇぇぇ…。ルレイアぁぁ…」

えぐえぐ、と俺に抱き向いて泣きじゃくるシュノさん。

美人が台無しな顔してるが、それも俺達を心配してくれたからこそ。

俺達の帰還にここまで喜んでくれるのだから、有り難いじゃないか。

「ほらほら、シュノ離れて。ルレイア歩けないじゃない」

「だ、だって。アシュトーリアさん、私ルレイアをずっと…」

「はいはい。分かってるわよ。ずっと心配してものね」

「うぇぇぇん」

俺にしがみついて離れず、子供のように泣きじゃくるシュノさんに、アシュトーリアはあらあら、と笑っていた。

それに、アリューシャも。

「うぉぉ!ルル公~っ!無事であったか~!」

「無事であったかって…。俺は無事だよ…」

「散々心配かけよって貴様ら~!ちったぁ心配かけずにいられんのか!」

「…悪かったよ」

「無事に帰ってきたから許す!」

それは良かった。

いつもならルルシーが、喧しいぞアリューシャ、と怒るところだが。

今日ばかりは、怒れなかった。

騒がしいアリューシャの声さえ懐かしい。

「うぇぇ、ルレイア…」

「よしよし。心配かけましたね。もう帰ってきたので、大丈夫ですよ」

そう言ってシュノさんの髪を撫でてあげると、またシュノさんの目に、ぶわっ、と涙が浮かんだ。

「ふぇぇぇぇん」

あぁ…また泣いちゃった。

なんとも騒がしい帰国だが、こんなやり取りも懐かしくて、あぁ、帰ってきたんだなぁと思った。
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