The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideアドルファス

──────…いい加減、頭ぶっ飛ばしてやろうかと思った。

「はぁ…。やる気出ない…」

「…」

「お前もやる気出ないよな…。なぁ、ハムッキー」

オルタンスは、何処から持ってきたのか知らないが、ハムスターランドの公式キャラクター、ハムッキーのぬいぐるみを抱き、話しかけるその姿は。

一般人が見れば、とても帝国騎士団長とは思わないだろうな。

俺だって信じたくねぇよ。こいつが自分の上司だなんて。

ルーシッドなんて、見てみろ。あまりに受け入れたくない現実なのか、必死によそを向いてる。

その気持ちは分かるぞ。

だが前を向け。これは現実だ。

「…何ぬいぐるみと喋ってんだ、お前は」

しかも、頭に例のハムッキーのカチューシャまでつけて。

みっともないことこの上ない。

へし折るぞそれ。

「はぁ…。ハムッキーもやる気出ないよな…」

「良い年した大の男が、ぬいぐるみと喋んな!」

気色悪いったらありゃしねぇ。

「仕方ないだろう、アドルファス。もう何ヵ月ルレイアの顔を見てないと思う?やる気が削がれるのも当たり前、」

「そのルレイアだが、昨日帰国したらしいぞ」

「…!」

オルタンスが、いきなりがばっ、と起き上がった。

餌に釣られたらしい。

「…本当に?俺にやる気を出させようとして、適当言ってないか?」

「こんな下らない嘘をついてまで、お前を動かすくらいなら、自分で動くに決まってるだろ」

「それならそうと、早く言ってくれ」

それを言おうとしてここに来たら、お前がぬいぐるみと喋ってたんだよ。

本当いい加減にしてくれねぇかなマジで。

お前みたいなのを上司と呼ばなければならない、俺達の身にもなってくれ。
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