The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルレイア

─────…オルタンスが訪ねてきたそのとき、俺達は丁度、病院から帰ってきたところだった。





「ルレイア…!本当に帰ってきてたのか」

「あ?」

…誰かと思ったら、オルタンスじゃん。

「何ですかあなたその格好。きっしょ!」

小脇にぬいぐるみ抱えて、頭にカチューシャをつけてる。

「気でも狂ったんですか?この人」

オルタンスの後ろについてきたアドルファスに聞いてみる。

「…お前がいなくなってから、ずっとこんな感じだよ。何とかしてくれ」

あぁアドルファスも苦労してるんだなーって。

そりゃお気の毒。

「無事に帰ってきてくれて、何よりだ。ハムスターランドに行こう」

「あ゙?」

何がハムスターだって?

お前の頭の中?

「ルルシー、この人何か変なこと言ってますよ。しかも頭にハムッキーのカチューシャなんかつけて。変な格好!帝国騎士団長ともあろう者が、こんな格好して恥ずかしくないんでしょうかね?」

俺は同意を求めてルルシーにそう言ったのに。

「…お前が言うと、説得力皆無だな」

ちょっとルルシー。それどういう意味。

俺の格好はまともだよ。帝国民の模範となる素晴らしくお洒落な格好だ。

すると。

「…無事で何よりだ」

ルシェが、俺の顔を見て心底ホッとしたように言った。

…ちっ。

わざわざそんなことを言いに、マフィアの本部まで来たのか?こいつは。

「…で…ルレイア、シェルドニアの一件はどうなった?ミレド王が死んだのはニュースで聞いてるが、その後ルティス帝国侵攻計画は…」

アドルファスが割って入り、そう聞いてきた。

こいつは、それを聞きに来たんだろうな。

「あぁ、それなら白紙に戻させました。アシミムと証書も交わしてるので、後で帝国騎士団にもコピーを郵送します。これで当面、シェルドニア王国は無害ですよ」

「そうか。…ったく、何だかんだでまた借りを作っちまってるな」

全くだ。…と、言いたいところだが。

今回の一件では、帝国騎士団とも連携して俺達の捜索を手伝ってくれたらしいし。

「お互い様ってことにしておきましょうよ。今回は」

こっちも、借りを作りたくはないからな。

今回ばかりは、貸し借りなしってことにしておこう。
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