The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルリシヤ

─────…ルルシー先輩が映画鑑賞を、ルレイア先輩がエステを楽しんでいる頃。

新婚夫婦の仲人である俺は、カジノで旅費を回収していた。

昔はグリーシュと散々楽しんだ賭け事だが、あの頃の冴え渡った勘は未だに健在であった。

この船、国際船にしてはなかなかの高レートなのだが。

だがそれだけに、今回かかった旅費については、早々に回収出来た。

他のカジノ客は、仮面の天才ギャンブラー現るとばかりにビビっていた。

挑んでくれる人がいないと、楽しくないのだが。

と、思っていると。

「良ければ、相手をさせてもらえないだろうか」

やや訛りのあるルティス語で、そう話しかけられた。

顔を上げると、そこには先程『白亜の塔』でガイドを気取っていた青年。

…この人…神出鬼没か。

と言うかこの人、ルティス語が分かるんだな。

さすがに旅慣れているだけある、ということか。

ちょっと訛りが耳に障るが。

「シェルドニア語で構わないぞ」

俺は、シェルドニア語でそう答えた。

「…!貴殿もシェルドニア語が分かるのか」

まぁ、ルレイア先輩ほど流暢ではないけどな。

会話には困るまい。

「相手をしてくれるなら有り難い。丁度相手がいなくて困っていたんだ」

「ゲームは何にする?」

「何でも良いが…。ポーカーにでもしようか」

分かりやすくて良いだろう。

「分かった。あまり上手くはないが…相手をさせてもらおう」

彼は俺の目の前に座り、ゲームを始めた。
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