The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルレイア

──────…ルルシーは、自分も悪夢を見ている、と言った。

別に驚きはしなかった。

ルルシーも多分、俺と同じなのだろうから。

ずっと忘れていた、忘れた振りをして、蓋を閉めていた記憶が。

『ホワイト・ドリーム号』の中で、呼び起こされてしまった。

シェルドニア王国から帰ってきて、日常に戻っても。

一度開けてしまった蓋を閉めることは、そう簡単には出来ない。

思い出さずにはいられない。

俺達が生きてきた地獄を。

「…ルルシーこそ、何で俺に黙ってたんですよ」

「お前にまで余計なことを思い出させたくなかったんだよ」

「今回ばかりは、ルルシーも俺を怒れませんね。ルルシーだって黙ってたんだからイーブンですよ」

「…うるせぇ」

お互い気を遣い合ってたみたいだな。

「…もしかしたら、ルリシヤも同じように悪夢を見てるかもしれませんね」

「…そうかもな」

ルリシヤが自分の過去に折り合いをつけてるのなら、悪夢は見てないだろう。

でも俺達みたいに、折り合いをつけられない過去に強引に蓋をしただけなのなら、同じように悪夢を見てるかもしれない。

悪夢を見ていたとしても、間違いなくルリシヤは何も言わないだろうから、分からないが。

「ルルシーも昔の夢ですか」

「あぁ…。売春して生きてた頃の夢だな」

成程。一番辛かったときの記憶が呼び起こされてるのか。

俺と同じだな。

「…これ、どうしたら治るんでしょうね」

「…」

薬や注射で治る病でもないだろう。こればかりは。

ようは、俺が過去に折り合いをつけてないのが原因な訳だから。

一体どうやったら…自分の過去を清算出来るのだろう。
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