The previous night of the world revolution4~I.D.~

sideルルシー

──────…ルレイアがお洒落をして街に繰り出す、二時間ほど前のこと。

そろそろ料理を始めないとな、と立ち上がりかけた、そのとき。

「おはようルルシー先輩」

「うぉっ!?何だお前、何処から入ってきた!?」

何処からともなく、ルリシヤが入ってきた。

心臓止まるかと。

お前、何処から入ったんだ?玄関から音しなかったんだが?

ってか南京錠かけてたんだけど?

「そろそろ料理を作らないと間に合わないと思ってな。俺も手伝うから、始めよう」

「始めようって、お前…」

それより、どうやって侵入してきたのかを教え、

「えーと、大きいフライパンは…確かここだったな。で、俺がこの間持ってきた圧力鍋がここに…」

おい。家主を差し置いて勝手にキッチンを物色するな。

ってか何でお前が俺ん家のフライパンの在処を知ってんだ。あとこの間持ってきた圧力鍋って何だ!

「ほら、ルルシー先輩。ロールキャベツは俺が作るから、ルルシー先輩はローストビーフを頼む」

「…」

「えーと、確かこの間来たとき、使い慣れたマイ包丁をここに忍ばせて…あ、あったあった」

勝手に忍ばせんな。

家主をスルーして勝手に料理を始めるな。

…あぁ、もう頭痛い。

すると。

我が家のインターホンが鳴らされた。

…あ?

誰かと思って出ると、そこにはアイズレンシアとアリューシャ親子。

「やぁルルシー。来たよ」

「おー…。お前らは良いな…。インターホン押して来てくれるところが凄く良い…」

ルリシヤのあれは何なの?鏡か何かすり抜けてる?

「それにしても、随分早く来たもんだな」

待ち合わせしてた時間には、まだ二時間近くあるだろう。

ルリシヤは料理係だから、早めに来たんだろうが…。

「うん。でもアリューシャが、クリスマスツリーの用意と、味見係をやるんだって言うから。早めに来たんだよ」

「…あ、そ」

味見係って。本当にやんの?

こんな落ち着きのない奴、キッチンに入られると迷惑だから来なくて良いんだけど。

それから。

「クリスマスツリーなんて、うちにはないぞ」

大体ツリーなら本部に置いてあるだろうが。皆で飾り付けたでかい奴が。

うちにはクリスマスツリーなんて…。

しかし。

「あぁ、アイズ先輩。この間預かった家庭用クリスマスツリーなら、そこの物置に入れてあるから、出して飾り付けてくれ」

「うん、分かった。ありがとう」

「!?」

そ、そこの物置…だと?

ルリシヤが指差す物置を開けると、そこには、見覚えのない新品の家庭用クリスマスツリーセットがあった。

こ、こんなもの…いつの間に。

「さぁ、飾り付けようか~アリューシャ」

「やったぜ!やっぱクリスマスはツリーがないとな~」

わくわくとクリスマスツリーを開封する、アイズとアリューシャ。

…とりあえず、俺さ。

このルリシヤ、交番に突き出した方が良いんじゃないか?

ある意味で、ルレイアより危機感あるんだけど。
< 510 / 580 >

この作品をシェア

pagetop