The previous night of the world revolution4~I.D.~
sideルレイア
──────…目が覚めると、そこはもう帝国騎士官学校の学生寮ではなかった。
何処かのホテルの一室にいて、そしてルルシーが傍にいた。
だから、俺は正気を保っていられた。
これでもし、ルルシーが傍にいなかったら…目を覚ますなり、俺は錯乱していたことだろう。
そのときの俺は、ルリシヤが俺達に気を遣って退室してくれたのだということさえ、気づいていなかった。
「帝国騎士官学校の…教室で…色んな人が俺を見ていて…」
先程の悪夢を、俺はうわ言のようにルルシーに話して聞かせていた。
夢の内容を言葉にすることで、必死にそれが夢だったのだと自分に言い聞かせたかったのだ。
「廊下にも…俺が殺してきた人が…。カセイや…エリュシアまでいて…」
「…そうか。でも…カセイもエリュシアも死んでないぞ。それは夢だ」
そう、そうだよね。
死んでない人も混じってたじゃないか。
じゃあやっぱり、あれは夢なのだ。
「廊下を抜けて…学生寮に逃げて…」
「やめろ、ルレイア。思い出すな」
「ルキハ…ルルシーがいて…手を伸ばしたけど、ルルシーは俺に背を向けて…俺を置いていってしまって…」
「…全く、酷い『夢』だな、それは」
ルルシーは、わざと「夢」という言葉を強調した。
「俺がお前を置いていくなんて、有り得ないにもほどがある。アリューシャが両手を使わずに二桁の掛け算を暗算するくらい有り得ないぞ」
「ふふ…」
その冗談に、俺は思わず少し笑ってしまった。
本当。有り得なさそうだね。
アリューシャの場合、まず一桁の足し算も両手を使わなきゃ間違えそうだ。
俺が少し笑ったのを見て、ルルシーはホッとしたような顔をした。
「な、ルレイア。それは夢だ。俺はお前を置いていったりしない。お前が苦しんでいるなら、世界の何処にいたって、必ず助けに行く。絶対にだ」
「…ルルシー…」
「何を敵に回しても、何を失ったとしても…俺がお前を見捨てることはないから、安心しろ。必ず助ける。助けられないのなら一緒に苦しむ。とにかく、絶対に一人にはしないから」
…ルルシー。あなたという人は。
何年たっても…あなたは、俺の救世主でいてくれるんですね。
「…そう、ですか…。ありがとう、ルルシー」
「あぁ。…落ち着いたか?少しは…」
「えぇ…大丈夫ですよ」
「そうか」
「でも…もう少し、手…繋いでもらってて良いですか?」
「あぁ。いつまででも繋いでおいてやる」
良かった。
さっきまで、あんなに絶望していたのに。
ルルシーに手を繋いでもらっていると、自分は大丈夫なんだ、と思えた。
何処かのホテルの一室にいて、そしてルルシーが傍にいた。
だから、俺は正気を保っていられた。
これでもし、ルルシーが傍にいなかったら…目を覚ますなり、俺は錯乱していたことだろう。
そのときの俺は、ルリシヤが俺達に気を遣って退室してくれたのだということさえ、気づいていなかった。
「帝国騎士官学校の…教室で…色んな人が俺を見ていて…」
先程の悪夢を、俺はうわ言のようにルルシーに話して聞かせていた。
夢の内容を言葉にすることで、必死にそれが夢だったのだと自分に言い聞かせたかったのだ。
「廊下にも…俺が殺してきた人が…。カセイや…エリュシアまでいて…」
「…そうか。でも…カセイもエリュシアも死んでないぞ。それは夢だ」
そう、そうだよね。
死んでない人も混じってたじゃないか。
じゃあやっぱり、あれは夢なのだ。
「廊下を抜けて…学生寮に逃げて…」
「やめろ、ルレイア。思い出すな」
「ルキハ…ルルシーがいて…手を伸ばしたけど、ルルシーは俺に背を向けて…俺を置いていってしまって…」
「…全く、酷い『夢』だな、それは」
ルルシーは、わざと「夢」という言葉を強調した。
「俺がお前を置いていくなんて、有り得ないにもほどがある。アリューシャが両手を使わずに二桁の掛け算を暗算するくらい有り得ないぞ」
「ふふ…」
その冗談に、俺は思わず少し笑ってしまった。
本当。有り得なさそうだね。
アリューシャの場合、まず一桁の足し算も両手を使わなきゃ間違えそうだ。
俺が少し笑ったのを見て、ルルシーはホッとしたような顔をした。
「な、ルレイア。それは夢だ。俺はお前を置いていったりしない。お前が苦しんでいるなら、世界の何処にいたって、必ず助けに行く。絶対にだ」
「…ルルシー…」
「何を敵に回しても、何を失ったとしても…俺がお前を見捨てることはないから、安心しろ。必ず助ける。助けられないのなら一緒に苦しむ。とにかく、絶対に一人にはしないから」
…ルルシー。あなたという人は。
何年たっても…あなたは、俺の救世主でいてくれるんですね。
「…そう、ですか…。ありがとう、ルルシー」
「あぁ。…落ち着いたか?少しは…」
「えぇ…大丈夫ですよ」
「そうか」
「でも…もう少し、手…繋いでもらってて良いですか?」
「あぁ。いつまででも繋いでおいてやる」
良かった。
さっきまで、あんなに絶望していたのに。
ルルシーに手を繋いでもらっていると、自分は大丈夫なんだ、と思えた。