The previous night of the world revolution4~I.D.~
sideルルシー
─────…ルリシヤに言われ、仕方なくルレイアを置いて客室を出た俺は。
苛立ち紛れに、ルリシヤに声をかけた。
「お前な…こんなときにカジノなんて。それにイカサマなんて…」
呑気にもほどがある。今はそれどころじゃ…。
「酷いな、ルルシー先輩。俺が本当に、こんなときにカジノに行くような、薄情な男だと思ったのか?」
「は?」
「あれは、ルルシー先輩を連れ出す為の口実だ。まぁ、ルレイア先輩のあの様子なら、俺が嘘をついていることも気づいているようだったがな」
「口実…?」
ということは…カジノで揉めて云々は、嘘だということか?
「そう、ただの嘘。口実だよ。ただルルシー先輩と二人きりで話したかっただけだ」
「そんな…。何で、わざわざ?」
「自分の為に俺達が難しい顔を突き合わせて話し合いをしてるなんて知れたら、ルレイア先輩も気分が悪いと思ってな」
「…!」
ルリシヤはカジノではなく、俺達の部屋の隣の…ルリシヤ自身の客室に、俺を案内した。
そういうことだったのか。
「…悪い。疑って…」
「気にするな。さぁ、入ってくれルルシー先輩。ルレイア先輩もわざわざ聞き耳を立ててはいないだろうが、あまり大声で話すと隣の部屋に聞こえるから、声量には気を付けてくれ」
俺は頷いて、ルリシヤの部屋に入った。
部屋の内装は、俺達のものとほとんど変わらない。
同じSランクの部屋なのだから、当然だが。
「茶でも淹れようか?」
「いや…。すぐ本題に入ろう。置いてきたルレイアが心配だ」
「分かった。なら前置きはなしにしよう。…昨晩、俺が先輩達の部屋を去ってから、何があった?」
…そうだよな。
ルレイアのことを心配しているのは、俺だけじゃない。
ルリシヤだって、俺に負けないくらい心配してくれていたはずなのだ。
「…しばらく、夢のことを話してたよ。それから落ち着くまで…ずっと手を握ってやってた」
「ふむ…。夢のことと言うと…ルレイア先輩の、過去の話だよな?」
「…そうだな」
俺が、話すのを嫌がるように視線を逸らしたことに気がついたのか。
ルリシヤは、首を振ってこう言った。
「あぁ、別にルレイア先輩の過去を詮索しようなんてつもりはない。ただの確認だ」
「確認…」
「…つかぬことを聞くが、ルルシー先輩。ルルシー先輩は、俺の過去を知っていたな?」
「…は?」
いきなり、一体何の話だ?
ルリシヤの過去?
「それは…一応…聞いてるが」
もとは貴族として生まれ、帝国騎士官学校にも合格していたのに、兄に疎まれて貴族の家を追放され。
『セント・ニュクス』という非合法組織を立ち上げたが、親友に裏切られて『青薔薇連合会』に来た。
…だったはずだが。
「そうか。実はな…俺も昨日、過去の夢を見たんだよ」
「え…ルリシヤも?」
「あぁ。幸せな頃の夢だ。俺は『セント・ニュクス』にいて、そこにはグリーシュもいて…。一緒に暮らしていた頃の。でも、いきなり場面が変わって、目の前にグリーシュの死体があった。グリーシュは首を斬られて死んでいて、俺の手には血の滴るナイフがあった。グリーシュは俺を睨んでいた。憎しみのこもった目で…」
「やめろ、思い出すな。思い出さなくて良い」
俺はルリシヤを制止した。
ルリシヤにとっては、思い出すだけで古傷を抉られるような辛い記憶のはずだ。
無理に思い出して欲しくはなかった。
苛立ち紛れに、ルリシヤに声をかけた。
「お前な…こんなときにカジノなんて。それにイカサマなんて…」
呑気にもほどがある。今はそれどころじゃ…。
「酷いな、ルルシー先輩。俺が本当に、こんなときにカジノに行くような、薄情な男だと思ったのか?」
「は?」
「あれは、ルルシー先輩を連れ出す為の口実だ。まぁ、ルレイア先輩のあの様子なら、俺が嘘をついていることも気づいているようだったがな」
「口実…?」
ということは…カジノで揉めて云々は、嘘だということか?
「そう、ただの嘘。口実だよ。ただルルシー先輩と二人きりで話したかっただけだ」
「そんな…。何で、わざわざ?」
「自分の為に俺達が難しい顔を突き合わせて話し合いをしてるなんて知れたら、ルレイア先輩も気分が悪いと思ってな」
「…!」
ルリシヤはカジノではなく、俺達の部屋の隣の…ルリシヤ自身の客室に、俺を案内した。
そういうことだったのか。
「…悪い。疑って…」
「気にするな。さぁ、入ってくれルルシー先輩。ルレイア先輩もわざわざ聞き耳を立ててはいないだろうが、あまり大声で話すと隣の部屋に聞こえるから、声量には気を付けてくれ」
俺は頷いて、ルリシヤの部屋に入った。
部屋の内装は、俺達のものとほとんど変わらない。
同じSランクの部屋なのだから、当然だが。
「茶でも淹れようか?」
「いや…。すぐ本題に入ろう。置いてきたルレイアが心配だ」
「分かった。なら前置きはなしにしよう。…昨晩、俺が先輩達の部屋を去ってから、何があった?」
…そうだよな。
ルレイアのことを心配しているのは、俺だけじゃない。
ルリシヤだって、俺に負けないくらい心配してくれていたはずなのだ。
「…しばらく、夢のことを話してたよ。それから落ち着くまで…ずっと手を握ってやってた」
「ふむ…。夢のことと言うと…ルレイア先輩の、過去の話だよな?」
「…そうだな」
俺が、話すのを嫌がるように視線を逸らしたことに気がついたのか。
ルリシヤは、首を振ってこう言った。
「あぁ、別にルレイア先輩の過去を詮索しようなんてつもりはない。ただの確認だ」
「確認…」
「…つかぬことを聞くが、ルルシー先輩。ルルシー先輩は、俺の過去を知っていたな?」
「…は?」
いきなり、一体何の話だ?
ルリシヤの過去?
「それは…一応…聞いてるが」
もとは貴族として生まれ、帝国騎士官学校にも合格していたのに、兄に疎まれて貴族の家を追放され。
『セント・ニュクス』という非合法組織を立ち上げたが、親友に裏切られて『青薔薇連合会』に来た。
…だったはずだが。
「そうか。実はな…俺も昨日、過去の夢を見たんだよ」
「え…ルリシヤも?」
「あぁ。幸せな頃の夢だ。俺は『セント・ニュクス』にいて、そこにはグリーシュもいて…。一緒に暮らしていた頃の。でも、いきなり場面が変わって、目の前にグリーシュの死体があった。グリーシュは首を斬られて死んでいて、俺の手には血の滴るナイフがあった。グリーシュは俺を睨んでいた。憎しみのこもった目で…」
「やめろ、思い出すな。思い出さなくて良い」
俺はルリシヤを制止した。
ルリシヤにとっては、思い出すだけで古傷を抉られるような辛い記憶のはずだ。
無理に思い出して欲しくはなかった。