【完結】島流しされた役立たず王女、第二の人生はサバイバル〜いつの間にか最強皇帝に溺愛されてますけど、海の恵みで儲けさせていただきます!〜

一章 役立たず王女、島流しにされる


見渡す限りの青い空、波の音がすぐ近くに聞こえる。
ゆらゆらと揺れる体とギシギシと軋む木材。

(ここは……?)

上半身を起こすと、そこには信じられない景色が広がっていた。


「…………ここ、どこ?」


空と同様、どこまでも広がる海。
周りには島や陸地、他の船も見当たらない。
頭に浮かぶのは〝死〟の文字。言葉を失っていた。
下を向けば焦茶色の今にも壊れてしまいそうな人一人寝転べるだけの小さな船。
木材は傷んでいて今にも沈んでしまいそうだ。


「……きゃっ!」


波に揺られて尻もちをついて後ろに倒れ込む。
背中が痛むが、なんとか起き上がろうとしてバランスを崩してしまう。


「痛い……」


そう呟いた瞬間、ハラハラと涙が溢れ出てくる。
悲しい気持ちが込み上げてきて涙は止まることはない。
このままでは波に揺られて船から落ちてしまう。
どうにかバランスを取る方法を考えた結果、震える手で体を支えながら船に寝転んだ。

今まで感じたことがない恐怖が襲う。五感のすべてが警鐘を鳴らす。
自らを荒く息を吐き出しながら、震える手を抑えるようにお腹の上で手を組んだ。
そしてこの絶望的な状況で諦めたように目を閉じる。

(今、何をしているんだっけ……落ち着いて。わたしは杏珠(あんじゅ)……え? 違う、わたしはメイジーだわ)

自分のことを思い出そうとして出てきたのは二つの名前だ。
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