【完結】島流しされた役立たず王女、第二の人生はサバイバル〜いつの間にか最強皇帝に溺愛されてますけど、海の恵みで儲けさせていただきます!〜

三章 転機の訪れ

(ジャシンスside)

ジャシンスは葡萄を摘んで、グラスを傾けながらため息を吐いた。

(……女王なんてつまらない。なんか面白いことがないかしら)

メイジーを追い出してから一週間も経たないうちに父はあっさりと死んでしまった。
自分が女王になり、メイジーが死んだことを告げると、父は愕然としていたことを思い出す。
けれどもういないのだからどうでもいい。

葬儀も終わってすぐに戴冠式が行われて、ジャシンスは女王となった。

(ふふっ、これですべてが手に入るのね……!)

父が死んで楽ができないのは悲しいが、こうして豪華な椅子にふんぞり返るのは悪くない。

(ぜぇーーーんぶ、わたくしのもの! ああ、気分がいいわ)

少し前に婚約者のディディエは昔から知った仲ではあるが、野心家でいつもくだらない理想を語っていた。
顔も悪くはないがジャシンスのタイプではない。
だけどメイジーを追い出すために大いに役に立った。

(バカな男……わたくしに利用されているとも知らずに)

たった一週間だけメイジーの婚約者だったが、面識はなかったようだ。
ジャシンスがメイジーのことを悪く言うと、あっさりと話を信じた。
無実なメイジーは抵抗することもなく馬車に乗ったそうだ。
島に送り届けられることなく、海の真ん中に置き去りにしたらしい。
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