婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語
第三回戦: 打撃と傷

圭衣の反撃

最近、時間が経つのがやけに遅く感じるのは、私だけだろうか? だって今日はまだ週の真ん中、水曜日。金曜日の間違いじゃない? そう思い、何回もスマホで確認するが、やはり水曜日だ。社長室=デザイン室で葉子に言われた業務整理をしていたら、6時になっていた。コンピューターを消して、帰り支度。


先週、妹たちと話し合い、少しずつ仕事の調整をしている。通常業務をして、手が空いた時に調整をしているから、予想以上に時間がかかり、ゆっくりになってしまっているが、こればかりは仕方ない。私だけの問題ではなく、今まで一緒に働いてきた社員たちに対しての責任もあるから、私がいなくなっても今まで通りスムーズに業務が進むようにしないといけない。




オフィスビルからミッドタウン駅へ向かう。会社帰りの人が多く、みんなが駅へ向かって列になり歩いている。なんだか疲れ切った奴隷が解放され、ずらずらと歩いているように目に映る。自分もその1人なんだけれど。


この時間は結構混むかも……。


電車内、空いている席はやはりない。人混みに押されながら中央の吊り革に捕まることができ、ホッとした。こんな時、この長身がありがたい。


ぼーっとしながら、この1ヶ月に起きたことを振り返る。


全てはピーターズコンベンションから始まった1週目。この日を境に大和に対して釈然としない気持ちになる。キラリのことも調べ始めた2週目。そして大和を怒らせてしまい、連絡も無視されたが、週末にキラリを偵察。3週目、家族の集まりをキャンセル。大和に合わせる顔がなかったから。4週目、妹たちと今後の会社と私のことを話し合った。


今はもう4月。確実に時が進んでいるんだ。大和と会えなくなってもう3週間が過ぎている。今でも彼に会いたい気持ちがある、好きだから。でも彼にとって私とのことはもう過去なんだよ、きっと。だから私も新しいスタートを切ろうって決めた。


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